第38話僕の区民オケが大好きな理由  里香先輩と初めてのキス

文字数 1,053文字

本田瞳です。
僕は、区民オーケストラの練習が大好きです。
理由は、里香先輩の隣で、トランペットを吹けるから。
もう、最高です。(高校オケのストレスが全部消えます)
それに、今日は、「スターウォーズのテーマ」なので、思いっきりトランペットを吹けます。
ファンファーレもかっこいい。
指揮者からも、「キンキラキンに鳴らして」と指示されているので、それもできるようになりました。
(遥かな宇宙空間に響き渡るような、そんな感じで鳴らしています)

翔太先輩も、(今は怪我して、見学中です)、手を叩いて高校仲間のトランペットを喜んでいます。(本当は吹きたいだろうに、大きな人、と思います)
あ・・・僕のトランペットですか?
毎日、鬼母の特訓で、困ることのないように、吹けます。

区民オケの練習の後、みんなで、ファミレスに行くのがルーティーンです。
いろんな声がかかるようになりました。
「里香ちゃんと仲がいいね」(はい、憧れの彼女ですから)
「ファンファーレでも、二人の息がぴったりで、聞いていて気持ちよかった」
(うん、最近は以心伝心です、雰囲気で考えていることがわかります)

区民オケを担当している区役所の人から、話がありました。
「里香さんと瞳君のツーショットの写真を、区の広報に乗せてもいいかな?」
「他の人の写真もあって、いろいろの中の一枚になるけれど」

里香先輩は、ムニュッと密着して来ました。
(恥ずかしい、人前で)(うれしいけれど)
「里香先輩とならOKです」(ムニュが強くなった)
里香先輩は、僕の手をキュッと握って
「わかりました」と区の人に、OKです。
(ますます、ドギマギしてしまった)

ファミレスからの帰り道は、里香先輩のマンションに先に着きます。
里香先輩は、悪戯っぽい顔です。
「ねえ、瞳君」

「はい?何です?」
(その悪戯っぽい笑いは何?)

「キスしていい?誰も見ていないから」
(確かに夜遅いし、誰も歩いていない)

「え・・・あ・・・」
(僕は噛んで言葉にならない)

「いいよね、恋人だから」
(ますます攻めて来るよ・・・どうしよう)

「目を閉じて」
(完全にマウントを取られた)

ムギュッとされた。
プンと唇に「接触感」があった。
時間は、数秒。
(里香先輩の心臓の動きも感じた)

「ごちそう様でした」
「美味しかった」
(里香先輩の甘い声だ)

「おそまつさまでした」
(我ながら、恥ずかしい返しだ)

「目を開けて」

「はい」

「家に着いたらラインしてね、心配だから」
(300mの距離なのに・・・キスはお守りかな)

もう一度、ムギュされた、
走って帰った。(早くラインしたかったから)
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