2023/12/10 「メタルヒーロー(架空)」-4

文字数 1,215文字

「メタルヒーロー(架空)」-4


◎海外のメタルヒーロー『メタルノイド マリア』
火星で採取した金属片は生きている金属だった。
その金属の実験中に爆発事故が起こり、マリアは瀕死の重傷を負ってしまう。だが、爆発で飛び散り彼女の肉体に食い込んだ無数の破片は、彼女を金属生命体・メタルノイドへと変化させた。
あらゆる金属と融合できる能力を身に着けた彼女は、その力を人類の平和のために使う事を決意する。


◎海外のメタルヒーロー『コズミックアーマー ギデオン』
領主の圧政に苦しむ地方都市。奴隷の子として産まれた少年はその体格を見込まれ、賭け試合を開催する興行主に売られた。
数年後青年となった彼は、肉体のみを武器にして闘う拳闘士として頭角を現していた。そんな彼を闘技場の片隅でじっと見つめる老人がいた。

老人はかつて王宮に勤める錬金術師兼、この世界では珍しい機械学者であった。彼は古代遺跡から発掘された失われた文明のオーパーツの研究に熱中するあまり、異端者の烙印を押されて王都から追放されていた。それは彼の功績をねたむ者の陰謀だった。

彼はその後各地を放浪するうちに、(しいた)げられた民衆の悲惨な生活ぶりを数多く目にする事になった。この世界は一部の特権階級だけが贅沢な暮らしを謳歌し、その他の大多数の人々の犠牲の上に成り立っていたのだと知った。この事は裕福な貴族の家に生まれ育ち、研究だけにひたすら没頭していた彼には衝撃の事実だった。

やがて彼はこの世界のシステムを根本から(くつがえ)さなければ、多くの民衆の幸福はないと考えるようになった。そして地下に潜り密かに民衆を団結させ、武器を与え、鍛え上げ、統率の取れた組織へと発展させていった。

だが問題がある。堕落した一般兵など恐るるに足らないが、王宮直属の様々な特殊能力を持った兵士はまったく違う。一人で数千人の兵力に匹敵する力を持っているのだ。

しかし老人にはそれに対抗できる手段があった。それは古代遺跡で発見した、今では失われてしまった文明が科学の粋を集めて作った『コズミックアーマー』と呼ばれる鎧だ。遺跡に残されていた古代文字を解読し、その能力と使用方法も判明している。ただし、その装着者になるには条件が限られている。今まで何人もの若者で試したがすべて失敗に終わっている。

『コズミックアーマー』は単なる機械仕掛けの鎧ではない。呪術と魔法と機械が何重にも組み合わさった複雑な構造をしている。強靭な肉体である事は当然だが、強靭な精神力と燃え上がるような闘志を清く澄みきった心で制御しなければならない。


老人は数カ月に渡り拳闘士の青年をずっと観察し続け、何度も会話を交わしていた。その強靭な肉体と不屈の闘志、彼の考えや人柄は『コズミックアーマー』の装着者として申し分ないと判断している。

老人は今、この世界の救世主として共に闘ってくれるように願うため、青年の元へと一歩を踏み出す……。


【『コズミックアーマー ギデオン』プロローグ・完】


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