特殊部隊の運用と装備について

文字数 1,640文字

 こちらでは、後半出番の増えてくる特殊部隊、その運用とそれに伴う装備についてご紹介します。

 ◇

 〝特殊部隊〟と一口に言っても、目的や編成は所属組織によって異なります。
 が。共通しているのは、目的に応じて〝精鋭を集めた部隊〟ということです。
 平均的な能力の兵士なら、『7-2.データ・リンクについて』で触れたランチェスターの法則が効いてきて――つまり数を集めた方が戦力としては勝ります。
 つまり〝一騎当千の特殊部隊〟というイメージが表す〝特殊部隊に敵大部隊の相手をさせる〟ような使い方は、貴重な人材の浪費にもなりかねません。

 では、精鋭を集めた特殊部隊の使いどころを考えてみると。

1.部隊員が精鋭である分、部隊は小規模にならざるを得ない。
2.部隊が小規模であるからには、担当する作戦も小規模になる。つまり、広大な戦線を単独で支えるような運用には向いていない。
3.少規模部隊で戦果を上げるため、運用は重要度の高い目標に対する、ピン・ポイント奇襲に行き着く。
4.ピン・ポイント奇襲であるからには、その戦闘スタイルは近接戦闘(C.Q.B、Closed Quarters Battle)に行き着く。

 というように、〝敵の要所へ忍び寄り、少数の重要目標に奇襲を仕掛けて排除する〟という要人テロまがいの戦法こそが、特殊部隊の本懐ということになります。

 このため、特殊部隊の性格は。

1.敵に気付かれずに、至近距離まで忍び寄る。
2.至近距離からの奇襲で、重要目標を瞬時に制圧する。
3.目的を達成したら、やはり敵に気付かれる前に撤収する。

 これを要約すると、(1)隠密裏に移動し、(2)瞬時に敵を制圧すること、というポイントに絞られます。

 もちろん支援は重要で、特に奇襲を仕掛けるべき目標の位置とタイミングを探り出すこと、それから秘密裏に接近・離脱する手配を整えること、この二つは特殊部隊を運用する上で死活問題です。

 なぜなら、せっかくの精鋭を必要以上の危険に晒すことは愚行だからです。
 一時的な戦果を誇るために特殊部隊を大軍へ当てたなら、そもそも部隊の継戦能力に関わります。

 さて、以上の理由から。
 特殊部隊に大威力の武器は無用の長物です。派手に暴れて敵に囲まれることが目的ではないからです。
 また敵を制圧するに当たっては、所要時間も重大な制約条件となります。敵の本体が状況を把握する前に逃げ出さなければならないからです。
 これら隠密性を重視する関係上、特殊部隊は近接戦闘に特化する宿命にあります。広範囲を制圧している暇はないからです。

 特殊部隊の戦法が近接戦闘に行き着いたところで。
 装備は、自ずと決まってきます。
 基本となるのは家屋の内部、つまり狭所で取り回しのいい武器ということになります。必ずしもワン・マン・アーミィである必然はないのです。
 このことから、主要武器はカービン銃(切り詰めた突撃銃)や短機関銃ということになります。
 前者は大威力の小銃(ライフル)弾、後者は比較的小威力の拳銃弾を使用します。目標の防御装甲がどの程度か、あるいは銃身の長さに反比例する取り回しをどうするかで、状況により使い分けます。
 ここで手持ち武器より火器を選ぶのは、対応できる間合いが広いからです。
 また、主要武器一辺倒では状況の変化に全く対応できなくなります。
 作動不良などに備えたバックアップとして、拳銃も必携でありましょう。
 また、ナイフも同様です。無音攻撃用の武器として使う場合も、また小道具として利用する場面も充分にあり得ます。

 これ以上の装備については。
 奇襲用の閃光衝撃手榴弾(Flash Bang)、錠前を破壊するためのライアット・ガン(散弾ではなく一粒弾、スラグ弾を使用)を部隊員の一部に持たせることになるでしょう。

 ◇

 と、特殊部隊の戦法や装備は、その性格から決まっていくことになります。

 本作品に関わってくださった全ての方へ、感謝を込めて。

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