第11話

文字数 560文字

 魔術師は四人。
 顔の模様はいずれも違う。顔の特徴は背が一番高い男。一番低い男。猫背の男。太った男。ぼくはそれぞれの模様を全て覚えた。

 白花も覚えたようで、こちらに向かって走り出した。
 ぼくたちは古代図書館の出入り口にたどり着いた。

「あ、開かない?!」

 弥生がドアの取手を力いっぱい開けようとしたが、ビクともしないようだった。ぼくは男だからと靖を地面に降ろし、二人をどかしてから、取手を強引に開けようとした。だが、どうしても開かない!

「どうしたの? 閉じ込められたの?!」

 あの落ち着いた白花の顔がサッと青ざめた。

 石造りの階段から四人がゆっくりと降りてきた。一人は頭上に片手を挙げている。

「あ! あいつか!」
 ぼくは片手を挙げている男から、常時生体電流が膨大に流出しているのを察知した。
「弥生。ちょっとごめん……」
「?」
 ぼくは弥生の持っていた学生鞄から500ミリリットルのペットボトルを取り出した。弥生はいつも烏龍茶を飲んでいるのをぼくは知っている。そして、ぼくは烏龍茶をペットボトルから地面にこぼして、生体電流で周囲の冷気を掻き集め。烏龍茶をマイナス5℃にした。
 それから汗を少し混ぜれば、氷の剣のできあがりだ。 

「それ、俺にやらせろ!」
 靖がいつの間にか目を覚ましていた。

 氷の剣を握ると、魔術師たちの方へ向く。
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