第7話 彼女とは

文字数 638文字

「おまえの彼女って、この学校の女の子なのか?」
「そうですけど」
「中学のときの彼女じゃないのか」
「あの娘とは中学を卒業した時に別れました」
「じゃあ、高校に入ってすぐに彼女を作ったのか?よく前の彼女のことを引きずらなかったな」
「それは違いますよ。おれと前の彼女は進む方向が違っていたんです」
「それは通う高校が違うからか?」
赤堀が寂しそうに軽く笑って言った。
「それも違いますよ。俺と彼女は人生の考え方が違ったんですよ。もう高校を卒業したら社会にでるわけですから、そのときになって人生について考え方が違ってるのに気づいたのでは遅いんですよ。はっきり言って彼女と別れた時は落ちこみましたよ。でも高校では新しい出会いが待っていた。それが今の彼女です。進む方向も同じ考え方で満足しています。先輩はどうですか、小原さんと進む方向は同じですか?それって重要ですよ」
遼也は赤堀が人生について考えてることに驚きながらも、感心した。赤堀はまだ高一なのだ。しかしこの学校からどこかの三流大学にだっていけるわけでもない。そうなると後一年半たらずで社会に出て働かなくてはならない。そのとき知佳が納得する道を自分は見つけられるだろうか、そう赤堀は言っているのだ。遼也はそんなこと考えたこともなかった。黙りこむ遼也に赤堀は言った。
「先輩、あとで部活が終わった日に、小原さんとうちに飯食いに来てくださいよ。うちはラーメン屋ですから、夜遅くまで店開いてますから」
その言葉に救われたように、遼也の顔は笑顔に変わった。
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