ポテトチップスと酎ハイ【2】

文字数 276文字

「次は大平公園前」


車内放送が流れ、降車ボタンに伸ばす手に加川くんの手が重なった。

すみません!
加川くんはさっと手を引っ込めた。
2人でバスを降り、バスが走り去る。

暮れたての空には丸い月。

では。
失礼します。
公園前の停留所から伸びる横断歩道を歩きながら考える。

夕飯は昨日作ったキーマカレーを温めて温泉卵を乗せよう。ご飯は冷凍したのがまだあるはず。サラダはキャベツと胡瓜を塩で揉んでドレッシングは……。


あ、ビール。

昨日最後の一本を飲んだことを思い出した。


踵を返してコンビニに向かうと、加川くんがとぼとぼ歩いている。

加川くん。
佐野さん

僕、用無しになっちゃいました。

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