ポテトチップスと酎ハイ【5】

文字数 439文字

私も離婚してるよ。

加川くんが驚いた顔で私を見る。

私はポテトチップスを1枚つまんで口に入れた。
ビール買ってきてもいいかな。
俺買ってきます。
加川くんはなにも聞かずに走って行って、案の定さっきと同じ酎ハイを2本買ってきた。
私、料理が好きで毎日張り切って料理を作った。

浮気が発覚した夫が言うには「毎日の凝った食事が苦痛だった」って。


幸せのためと思ってしていたことが相手を苦しめてたのかなーって。

そんな……。

俺だったら、毎日がんばって料理作ってくれたらうれしいっす。

ありがとう。


苦痛なら苦痛って、浮気する前に言えよってね。

でも、そういうことを伝え合えない関係だったのかな。

加川くんはうつむいて酎ハイの缶を握りしめている。
夫婦のことは夫婦にしかわからないのかもしれないけど、お姉さんはきっと元気になるよ。だってかわいい弟がこんなに心配してくれるんだもん。
私は加川くんの髪をくしゃくしゃっと撫でた。
飲まないならちょうだい。
加川くんの手で温まってしまいそうな酎ハイを奪い取ってグビグビと飲んだ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色