第8話
文字数 1,317文字
まずは情報収集だ。
どこかに生き残っている人類を見つけ出し、少しでも情報を集めようと思った。
だが、当然彼らは身を潜めているだろうし、どれだけの情報を持っているか、それがどれくらい役に立つか見当もつかない。
そこで俺はイチかバチかの賭けに出ることにした。
俺は怪獣に変身する能力がある。奴らの溜まり場へ侵入し、仲間となって弱点を探るのだ。
思い立ったが吉日と、早速怪獣へと変身してみる。正体がバレたら命取りになるので、怪獣選びは慎重に行わなければならない。
出来るだけ大きく、力強い方が信用されやすいと考え、俺はボンジェスリ星人を選んだ。
ボンジェスリ星人は体長が百メートルを超えるトカゲ型肉食怪獣で、今まで戦った相手の中でも一、二を争う強敵だった。その姿なら怪獣たちの仲間に入り込むのも難しくはないだろう。言葉巧みに誘導して、よしんば仲間同士で争わせることも不可能ではないかもしれない。
さっそく俺はボンジェスリ星人を頭に想起してポーズを決めると、見事変身するのに成功した。
だが、想定外の事態が起こった。
いざ足を踏み出そうとしても、巨大な体格が災いし、思いのほか足が前に進まない。少しずつ歩を進めるも、一キロも歩かないうちにヘトヘトになってしまう。
すっかり息が上がり、一ミリも動くことが出来なくなった。
長年の眠りに加え、怪獣たちと無理に乱闘し半殺しにあった体では、いくら太陽光を浴びてエネルギーをチャージした所で、所詮焼け石に水。全盛期の体力には程遠かったのだ。
焦ってはならない。まずは体を休め、じっくり休憩を取ることに。慎重に事を進めないと怪獣たちを手玉に取ることなど出来はしない。
空を覆いつくす数万もの人影が目に入らない程、その時の俺は疲弊しきっていた……。
激しい爆音で眠りが引き裂かれると、目の前には信じられない光景が繰り広げられていた。
複数の怪獣たちが皆倒れており、その横には俺と同じ星からやって来た仲間たちが悠々と行き交っている。焼き爛れた匂いが鼻孔を突き刺した。
俺は全てを悟った。
彼らは連絡が途絶えたのを不審に思い、きっと俺が怪獣に倒されたと思い込んで大群で乗り込んできたのだ。
良かった、これで一矢報いることができた。できれば自分で怪獣を全滅させたかったが、それでも満足だった。倒された人類の……いや、エマの敵を取る事が出来たのだ。
仲間たちに感謝の弁を述べようと顔を向けた途端、彼らは俺に向かってファイティングポーズを取り始めた。今にも必殺光線を放とうとしている者さえいる。
そうか! 俺はすぐにピンときた。
すっかり忘れていたが、今の俺は人間でもキョセイBでもなくて、ボンジェスリ星人に変身したままだったのだ。だから彼らは俺を怪獣だと思って戦闘態勢を取っているのだ。
このままではマズい。とにかく俺が仲間であることを示さないと――。
変身を解こうと体をひねった瞬間、引き裂かれるような激しい痛みが全身を襲った。仲間の誰かが必殺光線を放ったのだ。
それを皮切りに、一斉攻撃が始まった。俺はどうする事も出来ず、僅かに体中が痙攣するのを感じながら、これも天罰だと今度こそ本当に最後の時を迎えた……。
どこかに生き残っている人類を見つけ出し、少しでも情報を集めようと思った。
だが、当然彼らは身を潜めているだろうし、どれだけの情報を持っているか、それがどれくらい役に立つか見当もつかない。
そこで俺はイチかバチかの賭けに出ることにした。
俺は怪獣に変身する能力がある。奴らの溜まり場へ侵入し、仲間となって弱点を探るのだ。
思い立ったが吉日と、早速怪獣へと変身してみる。正体がバレたら命取りになるので、怪獣選びは慎重に行わなければならない。
出来るだけ大きく、力強い方が信用されやすいと考え、俺はボンジェスリ星人を選んだ。
ボンジェスリ星人は体長が百メートルを超えるトカゲ型肉食怪獣で、今まで戦った相手の中でも一、二を争う強敵だった。その姿なら怪獣たちの仲間に入り込むのも難しくはないだろう。言葉巧みに誘導して、よしんば仲間同士で争わせることも不可能ではないかもしれない。
さっそく俺はボンジェスリ星人を頭に想起してポーズを決めると、見事変身するのに成功した。
だが、想定外の事態が起こった。
いざ足を踏み出そうとしても、巨大な体格が災いし、思いのほか足が前に進まない。少しずつ歩を進めるも、一キロも歩かないうちにヘトヘトになってしまう。
すっかり息が上がり、一ミリも動くことが出来なくなった。
長年の眠りに加え、怪獣たちと無理に乱闘し半殺しにあった体では、いくら太陽光を浴びてエネルギーをチャージした所で、所詮焼け石に水。全盛期の体力には程遠かったのだ。
焦ってはならない。まずは体を休め、じっくり休憩を取ることに。慎重に事を進めないと怪獣たちを手玉に取ることなど出来はしない。
空を覆いつくす数万もの人影が目に入らない程、その時の俺は疲弊しきっていた……。
激しい爆音で眠りが引き裂かれると、目の前には信じられない光景が繰り広げられていた。
複数の怪獣たちが皆倒れており、その横には俺と同じ星からやって来た仲間たちが悠々と行き交っている。焼き爛れた匂いが鼻孔を突き刺した。
俺は全てを悟った。
彼らは連絡が途絶えたのを不審に思い、きっと俺が怪獣に倒されたと思い込んで大群で乗り込んできたのだ。
良かった、これで一矢報いることができた。できれば自分で怪獣を全滅させたかったが、それでも満足だった。倒された人類の……いや、エマの敵を取る事が出来たのだ。
仲間たちに感謝の弁を述べようと顔を向けた途端、彼らは俺に向かってファイティングポーズを取り始めた。今にも必殺光線を放とうとしている者さえいる。
そうか! 俺はすぐにピンときた。
すっかり忘れていたが、今の俺は人間でもキョセイBでもなくて、ボンジェスリ星人に変身したままだったのだ。だから彼らは俺を怪獣だと思って戦闘態勢を取っているのだ。
このままではマズい。とにかく俺が仲間であることを示さないと――。
変身を解こうと体をひねった瞬間、引き裂かれるような激しい痛みが全身を襲った。仲間の誰かが必殺光線を放ったのだ。
それを皮切りに、一斉攻撃が始まった。俺はどうする事も出来ず、僅かに体中が痙攣するのを感じながら、これも天罰だと今度こそ本当に最後の時を迎えた……。