第6話 street in the darkness/the roosters

文字数 756文字

大晦日、雨の夜。
スノーボードインストラクターとして出入りしているスキー場は、前日早々クローズを決定。
ちょうど店にご予約あったし、それは良し。
しかし、雪が心配だ。
連日のレッスンに老体はがたぴし言ってる。
深夜、雨音に目を覚まし、飯田へ。
コンビニでお金払わないと。
4時前から国道を走る。
時間帯なのか、大晦日だからか、1台も車を見る事なく麓まで。
真っ暗だった。
普通、心細いだろうか?
しかし僕にはそういう静寂を、なんだか近い言葉を探せば「自由」とか、開放感(いや、解放感と表記すべきか?)みたいな風に感じる性質が、昔からある。
隠しても隠し切れない歪さ。
穢れ、不快な存在。
衆目に晒される白日。
それは、夜より、暗い。

夜より暗い 昼間の街角 誰か生き方 教えておくれ

大江慎也のリタイア直前、ギリギリの精神状態が封じ込められたthe roosterzの名作「Φ」。
その中でも、もっとも身も蓋もない直接的なフレーズ。
マイノリティー究極の窮鼠猫噛みも、リア充一般ピーポーマジョリティ世間様からは「ああ、病気なんだね」
そうして大江さんは、力尽きた。
暗いと言われる自覚すら与えられず。
無力。

最近死にたいとは思わない。
いや、死にたくても、死ねないのだから、思えない。
やっぱり僕の朝は、夜より暗い。
目覚めた夜中、永遠に続いたら良いのに。
もう朝は要らねんだ。
そして、次に目を覚ますと、いつも薄明るい。
僕には真っ黒けな世界がいい気になって動き出す。
雄鶏が鳴く。
その声に、死んでしまうかもしれないな。
今朝も、そこから始まる。
いつ、終わるんだろう?
大江さんみたいに一度リタイアするべきなのかな。
今は元気にやってるみたいだし。
大江慎也。
大木温之。
このふたりもそう長くないだろう。
彼らが死んだら泣くだろうか?
泣かないのだろうか?
僕のが先に、死ぬだろうか?
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