第2話 somegirlsarebiggerthan…/thesmith

文字数 983文字

smithは美しかったけど、その後のmorrisseyもmarも醜い。
つまり、morrissey&marが美しかったんだろう。
僅か5年程のその婚姻期間に、たくさんの宝石の様な作品を残した。
弱さを反転させる優しさ。
smithが5年で成し遂げた成功を、国境を越えた時代性というムードの中リンクしたピーズが、30年以上かけても成し得ないのは、英日の国民性というよりはロックを取り巻く状況の違いだと思う。
一過性民族。
ローカルヒーローやインディーヒーローを発掘しては泊をつけて売り出すロック産業の手法は、英米には根付いても日本にはそぐわなかった。
話をsmithに戻すと、僕は特にmarの子守唄みたいなアルペジオが好きだ。
前回書いた、悪夢から醒める前にいつも流れるオルゴールが、marのあの頃のギターだったらと思う。
音色も含めて「girlfriend in a coma」など美しさの極みだけど、この「some girls are bigger than others」も捨て難い。
短・長調の違いでどうしても「girlfriend in a coma」の旋律にいつも打ちのめされてしまうけど(あと、和音かな)「some girls are bigger than others」のフレーズはいかにもsmithのmarらしく感じる。
詞は遺伝的考察などと解説されたりして、morrisseyは良く「差別的である」と批判されたタイプのひとつに分類されるだろう。
例えばまたピーズを持ち出すが、「こじき」。
まあ、タイトルからしてなんですが、僕はそういう歌に、いつでも自分を重ねてしまう。
だから、morrisseyもはるさんも、センセーショナリズムとはかけ離れて、自分を歌っている気がしてしまう。
自分のへんてこさに沈み、酔いつぶれ、もっとへんてこりんになって目覚める朝。
ふつうで居たいんだ。
だから、きみと居る間、僕は周囲に「僕はふつうなんだ」と言い張ってた。
きみに「ふつうそうでしょ?」と、いつも怒られ傷ついては。
それでも、きみが居たから、それで良かった。
強がれた。
きみを諦めた春のあの日から、それが出来なくなっちゃった。
どうやって生きよう。
marの奏でる旋律は、それでも加速していく。
必死に滑稽なうたを乗せていくmorrissey。
まるで、僕らみたいに聴こえる。
そんなの長くは続かないさ。
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