長編小説を書き終えて【2024年9月5日】

文字数 784文字

今、僕の心の中は均等の取れた天秤(あるいは玩具のヤジロベエ)のように左でもなく右でもなく、上でもなければ下でもない。ちょうど重心に位置した場所から、この文章を書いている。

『急流すべり』という小説を最近になって完成し、このNovelDaysにも公開されてもらった。テーマは、とあるトラウマを克服していく過程を描きたかったのだが、当初は短編小説で書いていた。しかし、その短編小説の中では表現しきれないと判断し、プロットを作り直して長編小説に初挑戦をしたのだった。

まだ僕は小説を数編しか執筆したことがなく、語彙力もなければ言葉の使い方も間違いだらけで、途中でギブアップをして音を上げるだろうと考えていた。実際、何度も挫折しそうになったのだが、その都度、ある言葉が脳裏によぎっていた。

『想像力が豊かでアイデアは星の数ほど湧き出てくるのに、それを形にすることが苦手』

ホロスコープの占い結果に出ていた僕に対する言葉だ。眉間の辺りを狙撃銃で撃ち抜かれたような衝撃だったが、言い当てられてしまったということよりも、その苦手を克服しなければ何も生み出せないと強く感じた。

数ある占い結果の言葉の中から、これだけが僕の心の重心に居座っており、挫折しそうになったらこの言葉を思い出して奮起するのだった。

そのおかげもあって五ヶ月間にも及ぶ長編小説の執筆作業も終了し今に至るのだが、圧倒的に読書量不足を感じている。商業小説やここのNoveldaysで読書をしていきたい。

両手を頭の後ろに回し、ふと小説というものについて考えた。

小説の中は自由で爽快なのに、現実世界の僕は廃墟に放置された人形のような存在だ。

僕は何を追い求めているのだろうか。

「君は追い求めているのではなく、逃避をしているだけだよ」

画面の中のアナウンサーが、僕にそう告げているような気がした。

感情のない真面目腐ったような顔をして……。
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