【最終話】triangleデート ~君が好きだから~

文字数 1,041文字

遊びに行った帰り道。

日野さんの家に向かう道。

星野さんは遠回りを選んだ。
なんで……
なんで遠回りをしたかなんて明らかなのに
ごめん…。なんでなんて聞いたら、泣かせてしまうよね
彼女の頬に伝う涙を見て、気が付く俺は馬鹿だった。
ごめんね。私もごめんね
俺は文芸部に入る前と変わらず無神経で…
内山君は気づかないふりをしていてくれたのに
本気で向かい合うことをやめていて…
気持ちを探るようなことをして、勝手に傷ついているんだから。

笑っちゃうよね
気持ちを伝える大切さを忘れている


二人ともおまたせっ……て、どうかしたの?
んーん…。笑っていたとこ
……そういうことにしておく?
うん。

道案内も終わったし、私は先に帰ろうかな
待って!
はっ、はい
星野さんもいてほしい。

これからすることを見ていてほしい
これは日野さんに渡す手紙だけど
びりびりびりびり...
なんで破くの?手紙を渡しに来たんじゃないの?
ごめん。手紙は日野さんの気持ちに対して覚悟のない応援だった
そして、星野さん
はいっ
俺は自分が書いたものを初めて破いたよ。

これまで俺が俺の駄文を破らずにいれたのは、星野さんが笑ってくれたからだと今さら気が付いた
俺の気持ちと向き合う時間が欲しい。

君を泣かせた俺には、こんなことを言う資格はないのかもしれない。

でも、まだ俺の言葉が特別な色をしているなら。

今度は二人でデートをしよう
……
私。ちょっとめんどくさい女子だよ…
遠回りならいくらでも付き合うよ
二人のことを期待しちゃうよ
期待にそえない結果になるかもしれない。でも悪戯に期待はさせない。

都合が良すぎるかな?
ううん…。私、馬鹿だから惚れ直した
デート。楽しみにしているね


良かったね、夢子
へへっ……恥ずかしとこ見られちゃったけど。ありがとう
それにしても、内山君はやってくれたわね。

私は手紙の演出のために呼ばれたのかしら?
……謝罪の言葉しかないです。手紙は後日、改めてしたためます
私のことを気にしている余裕があるのかな?
ぅ……
私ね。文芸部創設時に私が出来なかったことをやってのけた貴方をちょっとは認めているんだよ。

だから、次に夢子の気持ちを蔑ろにした時は酷いことするからね
星野さんの気持ちをいい加減に扱うつもりはないけど…。

俺の感度が低くならないよう、肝に銘じておきます
ふふっ。内山君が酷いことされないように、わかりやすい女になろうか?
星野さんは星野さんでいいよ
その台詞だけじゃ駄目ね。

夢子は甘えたいけど、わかりやすい振りをしなきゃ甘えられないのよ
こんな私だけど、これからもよろしくね
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登場人物紹介

@内山 喜春(キハル)

及川さんに恋する高校1年の文芸部。
声色で人の恋心がわかるという能力を持っている。
*淡い紅色は、恋心の色。
*薄い青色は、嫌悪の色。
*薄い黄色は、どちらでもない。

@及川さん

内山君のクラスメイト。

@星野 夢子

文芸部仲間。
内山君と同学年だが、クラスは別。
だったけど、2年生のクラス替えで同クラスになりました。

@石川 タツ

内山君のクラスメイト。
神崎さんのことが好きらしい。

@神崎さん

モブ女。内山君のクラスメイト。

@日野 未来(ミライ)

星野さんの幼馴染。理数科なので普通科の星野さんとは別クラス。
自称、好きな人ができない性分だけど……

@原 悟(さとる)
内山君の2学年上の文芸部の先輩。
中学生の頃のペンネームは去虎。

@早瀬 樹里(ジュリ)

自分のことをジュリと呼ぶ、内山君の一学年下の文芸部員。
星野さんとは、創作投稿サイトで友達であり、星野さんのことを敬愛している。

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