仕立てたのは僕だが、破くのは僕じゃない

文字数 824文字


ーーー放課後の教室ーーー
神崎の犬、可愛いな。目が可愛い!

犬は飼い主に似るって本当だな。目が可愛い!

(淡い紅色は、恋心の色)

うちの子が可愛いのは当然ですから

(薄い青色は、嫌悪の色)


教えてもらった映画。

皆で見たんだけど、すごい盛り上がったよ。

内山君、映画にも詳しいんだね。凄いね
お安い御用っす。見たい映画があれば、また聞いてよ。

(そして、薄い黄色はどちらでもない)
ーーーーーー
(”皆で見て盛り上がった”の”皆”は誰だろ。

実話を元にしたバスケ映画を、女友達と見て盛り上がったのならいいんだけど)
(皆の中に、及川さんが好きなバスケ部の先輩がいるのも、まだいい。

もし、先輩と二人っきりだったら……。

部屋で映画を見終わった男女は、第二クォーターでどんなゲームをするのか。

バスケでは身体接触はルール違反だったはずだが……)
(考えたら心が死ぬ……。ネタにして忘れよう)

ーーー文芸部の部室ーーー

さぁ。これを読んで、供養してくれ

…………んっ

”純白のパーティードレス。日が沈んだら、彼女が取りにやってくる。仕立てたのは僕だが、破くのは僕じゃない。彼女から代金を貰ったら、少しの酒と、馬鹿になる程の睡眠薬を買おう”

ふふっ。


珍しく性的な表現が出てきて驚いたよ。


でも彼女を襲わずに、何でもない顔で仕事をするところが、内山”先生”で安心したよ

コメディを書いたつもりはないんだけど、笑ってもらうのが供養だわ

お安い御用ですよ
(感情を書きだしたのと、星野さんのおかげで、絶望は薄らいだ気がする。

でも、恋心を延命させることは、高く付くかもな)
なんていうか……、いつもありがとう。

笑えない恋の結末が見えているけど、もう少し歩いてみるよ
内山君の恋が叶わないのはいいんだけど……
どんな辛いことがあっても、私の隣で文章を書いてよね。

内山君の書いた文章だったら、いつだって笑ってあげるから
でも、君自身の供養は泣いちゃうから
 
善処するよ
指切りげんまん。

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登場人物紹介

@内山 喜春(キハル)

及川さんに恋する高校1年の文芸部。
声色で人の恋心がわかるという能力を持っている。
*淡い紅色は、恋心の色。
*薄い青色は、嫌悪の色。
*薄い黄色は、どちらでもない。

@及川さん

内山君のクラスメイト。

@星野 夢子

文芸部仲間。
内山君と同学年だが、クラスは別。
だったけど、2年生のクラス替えで同クラスになりました。

@石川 タツ

内山君のクラスメイト。
神崎さんのことが好きらしい。

@神崎さん

モブ女。内山君のクラスメイト。

@日野 未来(ミライ)

星野さんの幼馴染。理数科なので普通科の星野さんとは別クラス。
自称、好きな人ができない性分だけど……

@原 悟(さとる)
内山君の2学年上の文芸部の先輩。
中学生の頃のペンネームは去虎。

@早瀬 樹里(ジュリ)

自分のことをジュリと呼ぶ、内山君の一学年下の文芸部員。
星野さんとは、創作投稿サイトで友達であり、星野さんのことを敬愛している。

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