第4話 親子のように
文字数 576文字
「春奈ちゃん、気になるのはわかるけどずっと見てたらまずいでぇ」
親父さんは山本組事務所をチラチラ見ている春奈を気遣った。
「なぜだか気になるの」
仕事中も春奈は組員らしい人が頻繁に出入りしているのを気にしていた。
「気にしたらあかん。見てたら銃で撃たれるで。はっはっは。彼らもよくうちで買い物してくれるから良いお客さんなんだけどなぁ。うん。それより航君とは上手くいってるん?」
「そんなことを聞いたらあかんやんか。上手くいってるに決まってるやん。ねえ」
奥さんが間髪入れずにデリカシーのかけらもない親父さんを責めた。
「上手くいってます」
満面の笑みで答えた。
その幸せそうな姿を見て夫婦はとても安心し喜んだ。
それでもどこかすこし影がある、もよりのない春奈をとても心配していた。意欲的に働く春奈ではあるが過去に何か大変な目にあったのだろうと想像はしていた。
今では子供がいない二人にとって娘が出来たと店の近くに部屋まで用意してとてもよく面倒を見ていた。溺愛しているといっていい。
春奈も二人が大好きだ。まるで本当の親のように接していた。
でも俺は時々、春奈が何を考えているのかわからない時がある。
それを問い詰めればガタガタと何かが崩れていくような気がしていた。
それはもろさなのか、それとも自分に自信のない心の弱さなのか。
......今はこのままでいい。
親父さんは山本組事務所をチラチラ見ている春奈を気遣った。
「なぜだか気になるの」
仕事中も春奈は組員らしい人が頻繁に出入りしているのを気にしていた。
「気にしたらあかん。見てたら銃で撃たれるで。はっはっは。彼らもよくうちで買い物してくれるから良いお客さんなんだけどなぁ。うん。それより航君とは上手くいってるん?」
「そんなことを聞いたらあかんやんか。上手くいってるに決まってるやん。ねえ」
奥さんが間髪入れずにデリカシーのかけらもない親父さんを責めた。
「上手くいってます」
満面の笑みで答えた。
その幸せそうな姿を見て夫婦はとても安心し喜んだ。
それでもどこかすこし影がある、もよりのない春奈をとても心配していた。意欲的に働く春奈ではあるが過去に何か大変な目にあったのだろうと想像はしていた。
今では子供がいない二人にとって娘が出来たと店の近くに部屋まで用意してとてもよく面倒を見ていた。溺愛しているといっていい。
春奈も二人が大好きだ。まるで本当の親のように接していた。
でも俺は時々、春奈が何を考えているのかわからない時がある。
それを問い詰めればガタガタと何かが崩れていくような気がしていた。
それはもろさなのか、それとも自分に自信のない心の弱さなのか。
......今はこのままでいい。