第8話 山本と鳴海
文字数 663文字
山本組長は煙草をふかした。二人の長い沈黙が続いた。
鳴海刑事が山本組を訪ねて来るのはいつもの情景だ。
「鳴海よ。何度同じことを言わせるんだ。何年も前の話だぞ」
山本組の組長以外は外に出された。組長室には二人きりだ。
「山本さん、本当に向井をやったのは平野誠ですか?」
何度も尋ねた会話だ
「ああ、そうだ。間違いない」
「で、報復なんてしてませんよね?」
「下請けも使っていないし平野誠も殺していない。渡辺組長が落とし前をつけたんだ。自殺じゃないのか?」
息をゆっくり吸い煙草を吐き出す。
「平野はナイフで刺された跡が多数ありましたし......」
「なら、渡辺組のだれかだな。うちの仕業ではない。おれは縄張りの一部と引き換えに手を打っただけだ。向こうから仕掛けてきた。目障りなうちの組をつぶしたいんだろうよ」
「そうですか。信用しています」
「当り前だ。俺を誰だと思っておるんだ!俺を疑うのか?」
「いいえ。やつら共犯はいるんですかね?」
「単独犯じゃないのか?こっちも向井がやられて散々だった」
「そうですね。上手くやってください。より良い社会を作る為です。汚れ仕事ばかりですみません。まともな社会にするためにお願いします」
「わかっているよ」
防犯カメラにはバイクを運転する共犯者が映っていた。だれかいるはずだ。
何度も渡辺組には話を聞いたが平野誠の単独で勝手に行動したとの一点張りだった。銃も出てこない。大原桃子は組員ではなかったから聞いても無駄だろう。
しかし、もう大原桃子を引っ張ってくるしかない手はない。
鳴海は桃子を追うことにした。
鳴海刑事が山本組を訪ねて来るのはいつもの情景だ。
「鳴海よ。何度同じことを言わせるんだ。何年も前の話だぞ」
山本組の組長以外は外に出された。組長室には二人きりだ。
「山本さん、本当に向井をやったのは平野誠ですか?」
何度も尋ねた会話だ
「ああ、そうだ。間違いない」
「で、報復なんてしてませんよね?」
「下請けも使っていないし平野誠も殺していない。渡辺組長が落とし前をつけたんだ。自殺じゃないのか?」
息をゆっくり吸い煙草を吐き出す。
「平野はナイフで刺された跡が多数ありましたし......」
「なら、渡辺組のだれかだな。うちの仕業ではない。おれは縄張りの一部と引き換えに手を打っただけだ。向こうから仕掛けてきた。目障りなうちの組をつぶしたいんだろうよ」
「そうですか。信用しています」
「当り前だ。俺を誰だと思っておるんだ!俺を疑うのか?」
「いいえ。やつら共犯はいるんですかね?」
「単独犯じゃないのか?こっちも向井がやられて散々だった」
「そうですね。上手くやってください。より良い社会を作る為です。汚れ仕事ばかりですみません。まともな社会にするためにお願いします」
「わかっているよ」
防犯カメラにはバイクを運転する共犯者が映っていた。だれかいるはずだ。
何度も渡辺組には話を聞いたが平野誠の単独で勝手に行動したとの一点張りだった。銃も出てこない。大原桃子は組員ではなかったから聞いても無駄だろう。
しかし、もう大原桃子を引っ張ってくるしかない手はない。
鳴海は桃子を追うことにした。