プロローグ

文字数 478文字

 ――「初恋は実らない」なんて、一体誰が言い出したんだろう? もし初めて恋に落ちた相手が運命の人なら、百パーセント実らないとは限らないのに。

 実際、わたしがそうだった。生まれて初めて恋をした相手が運命の人になったのだ。
 わたしの名前は篠沢(しのざわ)(あや)()。現在まだ十九歳という若さながら、日本屈指の大財閥〈篠沢グループ〉の会長兼CEOである。
 そして、わたしが初めて恋に落ちた相手は桐島(きりしま)(みつぐ)。わたしより八歳年上で、会長秘書兼わたしの個人秘書でもある男性だ。
 彼との出会いは今から二十ヶ月前。先代会長だった父・篠沢源一(げんいち)の四十五歳の誕生日だった。
 わたしと彼との間には年齢差や経済格差、身分の差など様々な障壁があったけれど、それらを乗り越えて無事に結ばれた。わたしの初恋は見事に実ったのだ。

 わたしは今、彼が初恋の相手で本当によかったと心から思っている。彼と一緒でなければ、父を早くに亡くした悲しみを乗り越えることも、現役高校生として大きな組織の(かじ)取りをすることもできなかっただろうから。

 そして今日この日、わたしは愛しいこの男性(ひと)と新たな旅立ちの時を迎えようとしている――。
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登場人物紹介

篠沢 絢乃 (しのざわ あやの)

この小説のヒロイン。大財閥〈篠沢グループ〉会長兼CEO。私立茗桜女子学院高等部2年生→3年生。

4月3日生まれ。牡羊座・O型。身長158㎝。

語学堪能(英語・中国語・韓国語・フランス語・スペイン語・イタリア語の5ヶ国語がペラペラ)で、料理も得意。

スイーツと甘めのカフェオレ・カフェラテが好物。

顔は母親似、一本芯の通った頑固な性格は父親似である。

一人称は「わたし」。

桐島 貢 (きりしま みつぐ)

この小説のヒーロー。大手総合商社・篠沢商事総務課→人事部秘書室勤務。大卒。25歳→26歳。

5月10日生まれ。牡牛座・A型。身長178㎝。

絢乃が会長兼CEOに就任した同日、正式に会長秘書となる。また、彼女の送迎も担当。マイカー(シルバーの軽自動車→シルバーのレクサス)で通勤している。

大のコーヒー好きで、淹れる方も得意。バリスタになりたいと思ったことも……。スイーツ男子でもある。

真面目で温厚な性格。一人称は「俺」、もしくは仕事中などは「僕」を使う。

中川 里歩 (なかがわ りほ)

絢乃の同級生で大親友。私立茗桜女子学院2年生→3年生。

6月17日生まれ。双子座・B型。身長167㎝。バレーボール部キャプテン。

絢乃とは初等部受験の日から親しく、もう10年来家族ぐるみで付き合いがある。

ボーイッシュな外見に似合わず美意識は高いが、料理はあまり得意ではない。運動神経はバツグン。

性格は頼りになるアネゴ肌。言いたいことは誰に対してもズバズバ言うのがポリシー。

一人称は「あたし」。

篠沢 加奈子 (しのざわ かなこ)

絢乃の母で篠沢家現当主。篠沢グループ会長代行。私立茗桜女子学院→私立大学(男女共学)卒。43歳→44歳。

4月7日生まれ。牡羊座・O型。身長160㎝。

公立中学校で英語教諭をしていた25歳の時に絢乃の父・旧姓井上源一(婿養子)と見合い結婚し、翌年に絢乃を出産。その2年後に第2子を身籠るが、仕事のストレスが原因で流産。その後体調を崩して教職を離れ、専業主婦に。

趣味はジャズ鑑賞、大の紅茶党。

時に厳しく、常に優しい理想の母親。一人称は「私」。

桐島 悠 (きりしま ひさし)

貢の兄で桐島家の長男。高卒で大手飲食チェーンでアルバイトを始め、現在は正社員(店長)。調理師免許あり。29歳→30歳。

6月30日生まれ。双子座・B型。身長176㎝。実家暮らし。

弟の貢との兄弟関係は良好で、彼と絢乃との恋も応援している。なかなか煮え切らない二人の関係を後押しすべく、キューピッドとして行動する。

仕事柄料理が得意で、将来は自分の店(洋食店)をオープンさせるのが夢。彼女持ち。

一人称は「オレ」。

阿佐間 唯 (あさま ゆい)

3年生になってからの絢乃のクラスメイトで親友。私立茗桜女子学院3年生。

7月5日生まれ。蟹座・B型。身長155㎝。マンガ・アニメ同好会所属。

アニメやマンガ好きないわゆる〝オタク女子〟で、話し方も個性的。でも憎めないキャラ。

実は篠沢グループの顧問弁護士・阿佐間政義の娘で、4歳年上の兄と二人兄妹。

レモンティー(特に冷たい方)が好き。

性格は自由人。将来の夢はアニメーター。

一人称は「唯」。

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