第30話 不変、可変

文字数 389文字

 これはもう、どうしようもない流れだね。

 うん、どうしようもない。内の流れ、外の流れ、もともと一つであったとしても、どっちも流れていることには変わらない。みんな、流れていく。

 止まりようもない、滝だね。川だね。繰り返す、海だね。

 そうだよ、変わりようもないよ。己が変わらないのに、どうして他が変われるね?

 すべては変わる。そして変わらない。

 そうそう。

 鳥が鳴いてるね。

 うん、かれらは自己の内に学んでいるよ。誰に教わるわけでない。ホー、ホケキョ、ホー、ホケキョって、アレ?なんか違うなぁ、と感じては、本来の鳴き方を思い出そうと一生懸命だ。

 人は、他者から学ぼうとばかりしているね。自己をおきざりにして。

 戻る処、帰る処を、忘れちまったんだよ… きみも、迷子の立派な一員さ。

 みんなで迷子になれば、迷子にもなれないよ。

 こわいことだね…

 流れているから。みんな、流れていくから。
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