第7話     自殺?

文字数 769文字

夜半になって目を覚ました僕は看護士が僕の上にまたがりベッドを揺すってはうめき声を上げているのを見た。

白衣のはずれたボタンの間からはみだした白い乳房が揺れていた。

手首に何かひんやりとするものが巻かれているが看護士の両足の下敷きになっていて見ることが出来ない。

頭の方で時計の音がする。

首をねじ曲げて見ると時計をぐるぐる巻きにしたエナメル線がそのままこちらにのびているのがわかる。

殺されようとしているのではないかと考えたが、それが自分が望んだことなのか、そうでないのかはわからなかった。

腹の上の看護士が重いのが苦痛だ。

時計では僕が感電死するまでにまだ数分あるようだった。

時間が来て電気が流れたらこの看護士も感電するのだろうか。

感電してから死に至るまでどのくらいの時間がかかるのだろうか。

苦しいのだろうか。

などと考えながら、また、いつの間にか眠ってしまったようだった。

目を覚ますとちょうど看護士が朝食を持ってきたところだ。

「検温を。」

といって体温計を渡される。

僕は体温計を脇にはさんだまま窓を見た。

窓は小さく格子が入っていて牢獄を思わせる。

「病状はどうなっているのでしょう。」

と看護士に尋ねる。

「私に病状などの判断をする権限はない。」

と看護士は答えた。

確かに、その通りなので医師に尋ねることにした。

が、担当の医師の顔が思い出せない。

僕は生まれたときからずっとこの病院にいたように思うのだが?

それとも担当医が誰だったのかが分からない忘れてしまったのか?

はじめから担当医などいないのか、それも分からない。

この病室の外はどうなっているんだろうという興味にとりつかれて病室の扉のノブに手をかけてゆっくりと回してみる。

冷や汗が背中をつたう。

心臓の鼓動が激しくなる。

体中にがくがくとふるえが走る。

そーっと扉を開け隙間から外をうかがうと廊下に男が立っていた。
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