第13話 青い石の精の神殿

文字数 643文字

 舟をおりて、月に照らされた神殿に入ります。
 神殿内は、複雑な模様の青いタイルが月のひかりに反射していました。
 だれもいないのに、かがり火が燃えていて、神殿内を照らしています。
 炎のゆらめきが、影になってかべにうつっていました。
 噴水があったであろう場所には、水がたまっていて、月を映しています。

 しかし、ぶきみな感じがすこしもしなくて、神秘的で幻想的な、ふしぎな神殿でした。

「ここが青い石の精の神殿なのね」

 コツコツと靴音を響かせて、ルルとカミュはひろい廊下を歩きます。
 ふしぎな石の精は、来たことがあるようで、まっすぐに目的の場所まで飛んで向かいます。

「ルル、カミュ、こっちだ」
「うん」
「うん」

 二人はふしぎな石の精に導かれて、神殿の奥にある、青い模様の入った台座まできました。

 台座には、四つのちいさなくぼみが付いています。

「ルル、いままで集めた青い石を、ここに埋め込んでみて」
「うん、分かったわ」

 ルルは集めた四つの青い石をそこにはめ込みました。

 すると、ぱあっと青い石は光り――

 その上の宙に、青い服を着た髪の長い精霊が現れたのです。

 ふしぎな石の精はとてもよろこびました。

「おはよう、青い石の精よ」
「……ああ、おはよう。ひさしぶりだね、ふしぎな石の精よ。私はずいぶんと寝ていたようだね」

 おだやかな声がひびきわたります。
 美しい姿をした青い石の精は、眠そうにふしぎな石の精に挨拶しました。

「そうだ。あなたが神殿でずっと眠っていたから、起こしに来たんだ。いっしょに天へ帰ろう」
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