第1話 ちょっとだけ帰ってきた桜真琴

文字数 1,958文字

キッカケは何時も突然だ。



誰が思うであろうか? 背後から殴った相手が宇宙人で、何時の間にか婚約者にされるなど。


しかし、彼から提示された契約は破格の待遇。私は二つ返事で良しとした。


だが、そこには契約に至るまでの計り知れない壁が存在した。


何と、他の婚約者を倒さなければならないという。


その第一の刺客「中華娘」を正々堂々と葬り去った後詐欺のように


実は後、10人いるんだ」と事後報告。




なんやかんやで、私と宇宙人の結婚が既に既定路線みたいな噂になってしまう。


それから 3カ月が過ぎる・・・・・・

それから刺客がやってくることも、倒しに行くこともなく平穏無事な日々が続く。


夏を超え、そろそろ肌寒い季節になってきた。


そうなると、ベッドから朝出るのも至難の業。頭では出ないといけないとわかっているのに、


本能はこのままで居たいと言い聞かせる。


理性よりも本能で動く私は当然、逆らうことなく寝入ってしまったのだが―――。

寝入ってしまった事により、学校に行く時間はギリギリに。しかも今まで奇跡的に遅刻してなかったというのに、今日遅刻してしまえば記念すべき100回に到達してしまう。


やっとの事で起きてリビングに来た時、青筋立てた親が指をポキポキ鳴らしていた。

ごめんごめん、寝過ごしちゃった。私ってお茶目さん!

てへっ、とおちゃめな行動をとった。


すると親は、テーブルに置いてあった林檎を片手で握りつぶした。

それが、この世で言い残す最後の言葉かしら?
愛してる、母さん。だから、暴力はダメ絶対
そうさせてるのはあんたでしょ! 今、何時だと思ってるの?
そう思うんだったら起こしてくれればいいのに
ブツブツと文句を言うと、テーブルに座る。
……何してるの?
見ればわかるでしょ? 朝食待ち。早く作ってくれないと本当に遅刻するわ
今のセリフで夕飯も抜きに決まったわよ

ええ! 私何も悪くないのに!?

遅刻寸前で何言ってるのよ! さっさと学校行きなさい!
大丈夫、私には秘策があるわ。あの有名な軍師、諸葛孔明も真っ青な
その、秘策って時点で何も期待できないのが悲しいわ
秘密兵器よ秘密兵器。これがあれば一瞬でつくわ
秘密兵器? なによ? あ、もしかしてアンタ自転車……
そう! バイクよ、バイク。
………………
は?
聞き間違いかしらバイクって聞こえたけど……バイシクルの間違い?
バイク。これを使えば学校まで5分で行けるわよ
ちなみに聞くけど、アンタ免許は?
持ってるわよ。無免許
それは持ってないって意味よ! あんた中学生だから免許持てるわけないでしょ!
誰が決めたの? そんな事
アンタよりも偉い人達が決めたわよ! それと、何処でバイク買ったのよ!
その辺に置いてあったから、拾ったわよ。
それは拾ったじゃなくて、窃盗って言うのよ?
そんなわけないじゃない。ちゃんとカギもついてたし、きっと不法投棄よ
カギを取り忘れたんでしょ! さっさと元の場所に返してきなさい!
はいはい、分かったわよ。今日学校帰りに返してくる

親の呆れた言葉を尻目に私は準備をする。


家を出て昨日拾ったカワサキニンジャとかいうカッコいいバイクにまたがり、エンジンをかける。

バイクの操作は昨夜ネットで予習したから大丈夫。

さぁ、行くわよ!
思いっきりハンドルを捻った瞬間、バイクが思いっきり立ち上がる。

ちょ! ちょっと何よコレ! 急に止まれ……! ああああああ

…………
ガッシャーン! パラパラ…… カラン、カラン
…………

「おいおい、何だなんだ?」  

「こりゃひでぇ、一体何があった? バイクが木っ端微塵じゃねぇか」

「ちょっと! 今誰か向こうに走っていった子がいるわよ!」
さてと、しばらく海外旅行でも行こうかしら。

けたたましい音に周辺住民が何やら騒ぎ出してきたので、私は直ぐに逃げた。


戦略的撤退。


と、いう事があって遅刻したのよ!

(絶対何かやらかして遅刻だろうなって)知ってた。

(遅刻だろうなって)知ってた。
二人が口を揃えて言う。

走って学校に向かったが、結局間に合わず。

記念すべき100回目の遅刻を見事に私は成し遂げた。

To be continued!
次回予告

突如として家に侵入してくる警察。その手には逮捕状。


へっへっ、奥さん、理由は分かってるんでしょう……?
そんな……! 心当たりが多すぎて分かりません!

あんたの所の娘……結構派手にやらかしてるじゃないか。

暴行、窃盗、恐喝、過失・業務妨害・危険運転・詐欺……警察も真っ青なレベルだぜ


あら、意外と少ないわね
正気?
私に……何をしろって言うんですか?
娘を出しな! 隠そうったって無駄だからな!
娘を差し出せっていうんですか……そんな!
迫る警察の魔の手。果たしてうちの親は上手く私を隠し通せるのか!
次回  「遅刻の先にある物」
お巡りさん、あそこです
知ってた。
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登場人物紹介

桜(さくら)真琴(まこと)


前作「暴走少女」から引き続き主人公に抜擢された女子中学生。

金に目が眩み、壮大な婚約者の席争奪戦に巻き込まれた。

どんなことでも手段を選ばない恐ろしい主人公

真琴の母親


超が付く問題児の真琴を世話する母親。

彼女自身は一般常識はあるのだが、どうして自分の娘がこうなったのかは

今でも理解できない。


ただし、怒ると暴力的になる所はソックリである

愛ちゃん


この小説の中での癒し。

可愛い外見と仕草で男をイチコロ。きっと将来(以下ry


運動部所属で真琴のボケをひたすらツッコむ友人。

よき理解者でもあるが、彼女自身も結構変人になってきた感はある。

城戸(きど)拓海(たくみ)


そもそもの原因である宇宙人。

婚約者を探しにやってきたというのに、色んな女性に手を付ける始末。

しかし、当の本人は悪気はなし。


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