第2話 遅刻した先にある物

文字数 2,363文字

あんたの無茶ぶりは今に始まった事じゃないけど、今回のは大概よね。何でバイク使ったの?

カッコいいから
早く着くって理由じゃないんだ
でもどうしよう! ついに真琴ちゃんが100回の遅刻に到達しちゃったよ!
おめでとう、マコ。
ありがとう、葵。
喜ぶところじゃないよー! そこ!

実はさっき、違うクラスの人から指さされて噂されてたのよ。

いやー、人気者は辛いわね

違う意味で人気者なんだけどね……

そうして談話をしていると、HRを終えて帰ったはずの担任が再び戻ってくる。

そして、私を見つけると歩み寄ってきた。

桜さん、今日話があるので、放課後教室にいるように。
えー、何の話? 長くなるようだったら嫌なんだけど?
間違いなく長くなります。覚悟しておくように!

じゃあ、お茶とお茶請け用意しといてね。あ、私は羊羹だめだからね?

指でもしゃぶってろ

捨て台詞を吐いて去っていく三上っち。

うーん、これは間違いなく遅刻関係の話っぽいわね。

あらら……三上先生、随分とご立腹みたいね。これは遅刻の事には間違いなさそうね。

私の銅像でも建てる話かしら?
恥の上塗りをしてどうするのよ。
……よし! こうなったら昼休み、真琴ちゃんがこれ以上遅刻しないようにする方法を三人で考えよう!
え?
え?
いや、真琴が疑問視したらダメでしょ?
 

昼休みになって、私たちは何時も通り机をくっつけて話す。

二人はお弁当。私は購買のパンにかぶりついて話をする。

では、これより第一回「真琴ちゃんが遅刻しないようにするにはどうすればいいのか?」の会議を始めたいとおもいます
手遅れ感が半端ないわね……
まぁ、実際1回も100回も変わらないしね。
いや、全然違うからそれは。
では、誰か何か良い案はありませんか?
はい
はい、葵ちゃん
諦める
ええ~! それはダメだよ! 却下!
じゃあ、もう学校に住むしかないと思う。

その手があったか……! 

学校で使うから光熱費は学校持ち、水道電気料金使い放題。あとはこの教室を全て私好みにカスタマイズすれば――

いやいや、現実的に無理だから。許されるわけないでしょ。
じゃあ、私たちが起こしにいく?
以前それで私たちまとめて遅刻しそうになったでしょ。

うーん、と悩める私たち。

そこに、一人の男が空気を読めずにやってきた。

やぁ、三人で楽しそうだね。
爽やかな笑顔でこっちに接近してくる男。
そう、城戸拓海。裏で女をたぶらかしている極悪人である。
実際、コイツのおかげでこっちは大変な目にあっているのだからあながち外れではない。
きたわね、疫病神。
疫病神とはひどい言いようだね
実際そうでしょう。アンタ、あの後大変だったんだからね
少し前の話。
野球の闘いで辛くも勝利した私は、その後の発言で大変な目にあってしまう。
とやかく周囲から言われて必死に誤魔化し、逆らうやつは皆バットで処したわ。
結局金がもらえるどころか、損をしただけになってしまう。
そうでもなかったけどな、僕は
アンタはニコニコ笑って、違うよ、って猫なで声してたら全員言う事聞くから良いわよね。こっちはほとんどの奴を実力行使でねじ伏せたって言うのに
そうだ! 城戸君にも意見を聞いてみよう! 
意見?
実はね城戸君……かくかくしかじか、これこれウマウマ……って訳なんだけど
桜さんの遅刻を無くす方法? そんな方法あるの?
あんた、何も考えて無いでしょ。真面目に考えなさいよ。
一番考えてなさそうな人間に言われる始末
そうだ! 城戸くんに迎えに行ってもらえば良いんだよ。そうすれば真琴ちゃんも起きるよ!
ないない
ないない
真琴ちゃんまで言わないでよ~!

だって、それじゃあ愛たちが来た時と変わらないじゃない。何を根拠に?

やっぱり、それは……の力かな!
はい、今日の会議はここでお開きみたいね。お疲れ様~
お疲れさま~。これって次回やる時ある?
ええっ! じょ、冗談だって! 今のは無し。なしだから!
次は無いわよ?
ふえ~ん……良いアイディアだと思ったのに
愛には悪いけどさ、こんな奴一人来たところで改善されるわけないじゃない
僕はやってみても構わないけど? 物は試しっていうし
冗談はアンタの性格だけで十分よ。そういう事してるから女に何人も手を出す事になってるのよ
まぁ、城戸君モテるからねー。早い所城戸君の首に縄を付けた方が良いわよ真琴。
そうね、天井に縄を括りつけて椅子も用意しておくわ
そっちの意味じゃないわよ!
大丈夫よ、放し飼いでも。コイツに気を遣ってたらキリがないし
ところで、会議の方は終わったのかい? 少し、桜さんと話がしたいんだ。
ああ、大丈夫よ。どうせ会議何て終わってるみたいなもんだし
終わってないもん! まだ考えてるんだから~!
まぁまぁ、愛ちゃん落ち着いて。落としどころとして、次の会議で各自案を持ち寄るでいいんじゃない?
愛は頬を餅みたいに膨らませていたが、自分も案が浮かばないのだろう、しぶしぶ葵の案を受け入れる形になっていた。
で、話ってなに?
そうだね……ここで話すのはあれだし、屋上に行こうか?
そうね、ここでは物が壊れるから
話通じてる?
To be continued!
次回予告
突撃インタビュー! のコーナー!
どーもー! リポーター抜擢された葵です! 今回はあるテーマにそって登場人物の方にお答えいただきまーす。お答えいただく方は勿論、この人!
まぁ、当然よね。何でもきなさい!
意気込みは十分。ではお題はこちら!
あなたは勇者です。もし、魔王に「世界の半分をくれてやるから、私の仲間になれ」と言われたらどうしますか?
マコが勇者っていうのが想像できないわ
簡単な問題ね。答えはNOよ
おーっと! これは意外!まさかの拒否!
流石にマコも勇者となると、純粋な心が芽生えるのね
そもそも、世界は最初から私の物だから。
勇者って何だっけ?
次回  刺客
私の仲間になるなら六畳一間の部屋をあげるわよ
せこすぎない!?
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登場人物紹介

桜(さくら)真琴(まこと)


前作「暴走少女」から引き続き主人公に抜擢された女子中学生。

金に目が眩み、壮大な婚約者の席争奪戦に巻き込まれた。

どんなことでも手段を選ばない恐ろしい主人公

真琴の母親


超が付く問題児の真琴を世話する母親。

彼女自身は一般常識はあるのだが、どうして自分の娘がこうなったのかは

今でも理解できない。


ただし、怒ると暴力的になる所はソックリである

愛ちゃん


この小説の中での癒し。

可愛い外見と仕草で男をイチコロ。きっと将来(以下ry


運動部所属で真琴のボケをひたすらツッコむ友人。

よき理解者でもあるが、彼女自身も結構変人になってきた感はある。

城戸(きど)拓海(たくみ)


そもそもの原因である宇宙人。

婚約者を探しにやってきたというのに、色んな女性に手を付ける始末。

しかし、当の本人は悪気はなし。


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