第4話 偶然

文字数 2,315文字

脱出成功。あれ以上付き合ってたらこっちの気が狂いそうになるわ。

さっさと帰ろうとする私の前に、校門前で城戸と葵の二人の姿が見える。

あれ? どうしたの二人とも
マコを待ってたのよ。どうせ、先生の話から逃げてくるだろうと思ってたけど、案の定思った通りだったわ。
褒めても何もでないわよ?
褒めてない、褒めてない。
じゃあ、そこの女たらしは?
僕は人と会う用事があって、いまからハンバーガーショップの方に行こうと思ってる所かな
何故か否定しない所が腹立つ。
それで、桜さんはこれからどうするの?
私? 私は今から葵と一緒に、アンタにハンバーガー奢ってもらう予定
ちょっと、ちょっとマコ。いくら温厚な城戸君でもそれは……
別に良いよ。むしろ、美女二人に奢らせてもらえるなんて僕は嬉しいよ

ええ~! そんな事言われると、困っちゃうなぁ

ペッ!(唾棄する音)
でも……良いの桜さん? 本当にハンバーガーショップに来るのかい?
当然じゃない。ただ飯させてもらえるのなら、それに乗っかるに越した事はないわ
そう。じゃあ、一緒に行こうか。
 
偶然出会った三人を交え、街へと繰り出す。行き先は城戸が予定していたハンバーガーショップへと向かう。幸か不幸か、夕方と言うのにハンバーガーショップに人の気配があまりない。
いらっしゃいませー! ご注文はお決まりですか?
もう何を頼むのか決まった二人とも?
私はダブルチーズバーガーのセットで良いわ
桜さんは?
じゃあとりあえずステーキ300g
まず、メニュー表を見ようか?
嘘よ。私も葵と同じので良いわ。
しかし、流石はファストフード店。頼んだ物がパパっと出てくる。それをトレイで受け取り、店内で三人そろって食事をすることに。
ところで、アンタ待ち合わせしてるんだったわよね? 私たちと一緒でいいの?
ええ、大丈夫です。そんなに時間もかからないとおもいますしね。もうすぐ来られると思います……あ、来ましたね

城戸が入口の方を向いてそう言うと、確かに誰かが入口から入ってきた。

見れば同い年ぐらいの女の子だった。

城戸は女の子に対して手を振ると、その子は笑顔で手を振りこちらへやってくる。

やっほー、キド。待たせてごめんね。ちょっと学校出るの遅くなって
いえ、大丈夫です。僕も今ついたところですから
そ、そう? キドは何時も優しいんだから……初めて会った時からずっとそうだった。どんなに迷惑かけても笑顔で応えてくれるんだから……だからそんなキドの事が私(ごにょごにょ)
誰? このヤバそうな女は?
や、ヤバそうな女!? 失礼ね! 何よ急に! そう言えばアンタ、どうしてキドと一緒に居るのよ!
そう言えば紹介がまだでしたね。こちらの方は「來海(くるみ)紅(くれない)」さん。僕の婚約者候補のおひとりです。
ああ、成程。道理でちょっと癖のある人だと思ってたわ
…………
え? 

ふふーん、あまりの出来事に驚いて声が出ないみたいね。そう、私は彼と婚約しているのよ。で? キド、この可哀想なお人は誰かしら?

彼女は桜真琴さん。僕の婚約者の一人です。
おーっほほほ! それは残念ね! あなたも彼の婚約者の一人……
…………
え?
くるみ……くれない?
さくら……まこと?

お互いがお互いを察してしまう。

そして、このハンバーガーショップでこんな会話した結果周囲が奇異な目でこちらを見ていた。

更に言うなら葵はスッゴク居ずらそうにジュースを隅ですすっていた。

ちょっと待った! アンタ、コイツに会うならちゃんと言いなさいよ!
え? ちゃんと言いましたよ? 人に会う約束があるって
肝心な部分をちゃんと言いなさいって話よ!

あ、アンタが、あの暴走特急片道切符と噂される桜真琴!?

ここで会ったが百年目、あたしと勝負しなさい!

ふふ……残念だけど、それは無理よ
え? 何を急に
貴女が他の九人を倒していないからよ
あ、その設定まだ背負ってたんですね
アンタが勝手に言ってるだけでしょ! さては私と勝負するのが怖いんでしょ!
ええそうよ。だから順番後回しにしてくれない?
プライドもなにもあったものじゃないわね……けど、都合よくそれで回避できるわけないでしょ! さぁ、私と戦いなさい!

向こうはヤル気満々。どうやら避けられない運命にあるみたいね。

はぁ、今日はやる事なす事、ことごとくついてないわね。

けど今回の相手は腕に自信のあるタイプだから、きっと肉弾戦。私の得意とする種目(?)だわ


仕方ないわね。いいわ、受けてあげるから死に場所を選びなさい
テーブルもあるし、ここで良いわ。
凶器があるから良いってことかしら?
凶器? 何を言ってるのよ?
だって、どちらかが倒れて動けなくなるまでの殴り合いなんでしょ? テーブルを使った凶器攻撃を得意としているってことよね?
全然違うわよ! というか、誰が殴り合いなんて言ったのよ!
ほう? では、戦う方法というのは?
來海は持っていた鞄からトランプを取り出し、テーブルの上に置く。
私が貴女に挑む勝負は「ポーカー」よ! 三回して先に二回勝った方が勝ちよ!
へぇ……つまりイカサマ勝負ってわけね
イカサマ前提で話をしないの!
To be continued!
次回予告
さぁ、ついにバトルに突入してしまった真琴ちゃん! これからどうなると思いますか?
そうね……力ずくなら負けるわけないけど、頭の方はイマイチだからポーカーとなるとどうかしら
それはつまり、真琴ちゃんが負けちゃう可能性も?
まぁ、負けたところで私には関係ないから別に良いわ。
では、負けたら城戸君は別の女性とくっつく事になりますがいいですか?
真琴! どんな手を使ってでもいいから勝ちなさい! 勝てば官軍よ!
次回  賭けるモノ
ちなみに負けたらもう帰ってこなくていいわよ~
スッゴイ嬉しそう
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登場人物紹介

桜(さくら)真琴(まこと)


前作「暴走少女」から引き続き主人公に抜擢された女子中学生。

金に目が眩み、壮大な婚約者の席争奪戦に巻き込まれた。

どんなことでも手段を選ばない恐ろしい主人公

真琴の母親


超が付く問題児の真琴を世話する母親。

彼女自身は一般常識はあるのだが、どうして自分の娘がこうなったのかは

今でも理解できない。


ただし、怒ると暴力的になる所はソックリである

愛ちゃん


この小説の中での癒し。

可愛い外見と仕草で男をイチコロ。きっと将来(以下ry


運動部所属で真琴のボケをひたすらツッコむ友人。

よき理解者でもあるが、彼女自身も結構変人になってきた感はある。

城戸(きど)拓海(たくみ)


そもそもの原因である宇宙人。

婚約者を探しにやってきたというのに、色んな女性に手を付ける始末。

しかし、当の本人は悪気はなし。


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