十七時十一分

文字数 358文字

「永森、テストはどうだった?」
「理系の割にはボロボロです」
 職員室に寄ると、数学の一ノ瀬先生に声をかけられた。数字を見ていると冷静になれるから、数学は個人的に好きな教科ではあるけれど、長ったらしい計算には骨が折れる。そして九割九分、間違う。
「次回の実力試験は、とっておきの難問を出すよう提案してやるから」
「先生、それ誰も喜ばないってご存知です?」
 なるほどというかやはりというか、先生方は基本加虐趣味のようだ。こめかみがひどく痛い。
 決めました。私は細胞がバグでも生んで突然変異をしないかぎり、教師にはならないことを誓います。無意味な宣言をして、年上のサクラバさんやスズムラさんが先生に飛びかかっているサマを一瞥して後、思い立ってある人に会いに、保健室へ向かった。腕時計と、ふたつ縛りにしていた髪ゴムをはずしておく。
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