第8話 これで一人じゃないですよね?
文字数 2,768文字
俺は東条屑。転生してから二度目の任務にウルフドッグ討伐に来ている。
太陽が丁度真上に上る中、中世ヨーロッパを感じさせるような石造りの建物に囲まれた街、だがしかし人は一人もおらずどこか心寂しい街の中に俺達はいる。
「それはダメ、お願いパーティーに入ってもう囮は嫌なの」
「囮?」
リョウ君は詩織の言っていることに首を傾げ眉間に皴を寄せて問い返した。
あのバカ……、余計なこと言いやがってもう交渉は無理だ。これから先どんな前衛が加入してもあいつを囮にしてやる。
「気にしないで下さい。」
聞かれてはまずいことなので俺は会話を遮り終わらせようとした。
「この二人が動けなくなった私を囮にしたのよ。おまけに前衛が加入するまでは私に囮をやらせる気なのよ!」
このバカ!そんなこと言いやがってもしその話が広まったら俺達のパーティーに加入する人はいなくなるのに、こうなったら黙らせるしかない。
俺は足音を立てることなく静かに詩織に近づいた。
「お願い。絶対パーティーに入……ガハッ!」
俺は詩織が言い切るその前に、詩織が持ってきていた酒瓶で後頭部を殴り、詩織を気絶させた。
「な……仲間じゃないんですか?」
「詩織は虚言癖があるので黙らせました。」
清々しい顔で俺が適当な嘘でごまかした。
「リョウ君は何のためにパーティーに志願したんですか?」
「張り紙で詩織さんの写真を見て一目ぼれしたからです。ですがその詩織さんは任務中にお酒を飲んでいる。そしてお二人は人を囮にして敵前逃亡するので加入したら命がいくらあっても足りないと感じたから加入をやめます」
まあそうなるよな、討伐も諦めて今日は野宿か……いや待てよ。
「そうですか。加入をやめるならギルドクラブに戻ったら惚れた女をみすみす見逃し怖気づいて逃げた腰抜けと噂を広めますがいいですか?」
リョウ君の顔色が青くなっていく。
「そんなそれは困りますそうなったら誰もパーティーを組んでくれなくなる」
「ですよねぇ~、困りますよねぇ~。これから先腰抜けと馬鹿にされ一人で討伐任務を受け続けることになるのですから、ここで相談ですが言いふらされたくなかったら今回の任務達成まで手伝ってください」
俺はリョウ君の肩に腕を回し圧を掛ける。
「分かりました。ただし僕一人を囮にするのは辞めてください」
「分かりました。」
俺達は再びウルフドッグを討伐すべく草原に向かった。
とは言え本当なら任務をキャンセルしたいところだが俺達は金が無い、おまけにたった二回目の任務を中断するなんてしたらギルドから信頼されなくなって任務を受けられなくなるかもしれない。どうやったらウルフドッグの群れを討伐出来るのだろうか……。
「屑、言い忘れてたけど今回の任務はウルフドッグの群れのボスだけ倒せばいいぞ」
「そういう大事な説明は最初に言うんだよバカ!とは言え群れのボスってどうやって見分けるんだ?」
「それなら簡単です群れのボスは目の色が違います通常は青ですがボスは赤です」
は?
「じゃあ最初に会った個体がボスだったってことか?」
和はリョウ君に質問した。
「そうです」
「マジか……、最悪じゃん。」
と、両手で撫でるように顔から頭頂部に動かした。
お前が最初に言っていたらこうなってなかったんだよ、バカ!……いや運がいいまたあいつがいる。
「そうでもないぞ。またあいつがいるぞ、赤目のウルフドッグが」
と、奥にいるウルフドッグを指差した。
「今度は僕一人置いてかないでくださいよ」
「勿論、ちょっと待っていて下さい」
俺は詩織に近づいた。
「ちょっ、何する気よ、変態」
「キャプチャー(拘束)」
俺はスキルを使って詩織を縄で縛った。詩織は縛られ体勢を崩し倒れた。
「これって女神の使っていたスキルか」
「あぁ便利そうだから覚えた」
俺は鼻息を荒し自慢げに答えた。
「これを持って行って下さい、そしたら一人じゃなくなります。では僕達は後方から支援しますので」
そう言った俺はリョウ君と詩織を置き少し離れた。そして俺に続いて和もその場から離れた。
「嘘よね、もうほんとに無理!」
可哀そうだな……とは思わない!任務中に酒を飲んでいるからだバカめ‼
「それではリョウさんお願いしますね」
「分かりました…」
詩織は暴れるが両手両足縛られていて身動きが取れない。
「助けてー!死ぬ!死ぬ!あいつら絶対にぶっ殺してやる!ちょっとあんたウルフドッグ倒せるの?」
と、リョウと目を合わせるために必死に上を向いている。
「屑さんたちの援護なしだと相打ち出来るかどうかって感じです」
「ならよかったプラスステータス、これで3分間だけ普段より段違いに強いはずだからとっとと倒してよ」
詩織はリョウ君の全ステータスにバフを掛けた。
「ありがとうございます」
と、剣を抜いてウルフドッグのボスに斬りかかった。反撃されそうなタイミングで俺と和がフレアで援護し討伐した。しかし他のウルフドッグに気づかれて追いかけられる。
「よし目標達成だ。逃げるぞ!」
俺は離れた位置から叫びテレポートでリョウ君たちに近づき再びテレポートで馬車まで逃げた。俺達は急いで馬車逃げた。
はぁー……、毎回こうなるのか?普通転生者にはチートスキルを渡すものだろ。あの女神何で渡し忘れてんだよ。
俺達は馬車に揺られボーっとしているとギルドに着いた。
「任務達成しました」
俺は受付で任務達成を報告した。
「お疲れさまです。報酬の五万ギラです」
受付嬢は五万ギラを俺に手渡した。
「ありがとうございます」
あれだけ命を危険に晒して五万ギラか……、人生は過酷だ。
「あの……、僕の分け前は?」
「二万ギラです」
俺は二万ギラをリョウ君に手渡した。
「私の分は今回も囮にされた分しっかりと貰うわよ」
「二万ギラやるから怒るなよ」
「やったー」
「俺のは?」
和は自分も貰えるのかと期待して聞いてきた。
「無いよ。俺も無いんだ、諦めろ」
五万ギラ稼いでも分け前で四万飛び残り一万は宿代で無くなるのか……、俺達この先やっていけるのだろうか。
「あの思ったんですけど、最初から真面目にやってれば簡単に討伐出来たんじゃないんですか?」
「いやー群れが来てたら倒せなかったと思うよ。二回目はあいつが吠える前に倒せたからうまくいっただけだし。」
和の言う通りだが詩織が真面目に戦えば間違いなく簡単に倒せたはずなのだ。
「やっぱりそう簡単な話じゃないんですね。あの最後に聞きたいんですけどなんで皆さんはその職業を選んだんですか?」
「死にそうになったらテレポートで逃げられるから」
「透明化で逃げたり覗きが出来ると思ったから」
「二日酔い治せたら毎日好きなだけお酒が飲めると思ったから」
「ダメだ。この人たち本当にクズなんだ」
流れるように俺達三人が冒険者として最低なことを言い、リョウ君は呆れてしまった。
太陽が丁度真上に上る中、中世ヨーロッパを感じさせるような石造りの建物に囲まれた街、だがしかし人は一人もおらずどこか心寂しい街の中に俺達はいる。
「それはダメ、お願いパーティーに入ってもう囮は嫌なの」
「囮?」
リョウ君は詩織の言っていることに首を傾げ眉間に皴を寄せて問い返した。
あのバカ……、余計なこと言いやがってもう交渉は無理だ。これから先どんな前衛が加入してもあいつを囮にしてやる。
「気にしないで下さい。」
聞かれてはまずいことなので俺は会話を遮り終わらせようとした。
「この二人が動けなくなった私を囮にしたのよ。おまけに前衛が加入するまでは私に囮をやらせる気なのよ!」
このバカ!そんなこと言いやがってもしその話が広まったら俺達のパーティーに加入する人はいなくなるのに、こうなったら黙らせるしかない。
俺は足音を立てることなく静かに詩織に近づいた。
「お願い。絶対パーティーに入……ガハッ!」
俺は詩織が言い切るその前に、詩織が持ってきていた酒瓶で後頭部を殴り、詩織を気絶させた。
「な……仲間じゃないんですか?」
「詩織は虚言癖があるので黙らせました。」
清々しい顔で俺が適当な嘘でごまかした。
「リョウ君は何のためにパーティーに志願したんですか?」
「張り紙で詩織さんの写真を見て一目ぼれしたからです。ですがその詩織さんは任務中にお酒を飲んでいる。そしてお二人は人を囮にして敵前逃亡するので加入したら命がいくらあっても足りないと感じたから加入をやめます」
まあそうなるよな、討伐も諦めて今日は野宿か……いや待てよ。
「そうですか。加入をやめるならギルドクラブに戻ったら惚れた女をみすみす見逃し怖気づいて逃げた腰抜けと噂を広めますがいいですか?」
リョウ君の顔色が青くなっていく。
「そんなそれは困りますそうなったら誰もパーティーを組んでくれなくなる」
「ですよねぇ~、困りますよねぇ~。これから先腰抜けと馬鹿にされ一人で討伐任務を受け続けることになるのですから、ここで相談ですが言いふらされたくなかったら今回の任務達成まで手伝ってください」
俺はリョウ君の肩に腕を回し圧を掛ける。
「分かりました。ただし僕一人を囮にするのは辞めてください」
「分かりました。」
俺達は再びウルフドッグを討伐すべく草原に向かった。
とは言え本当なら任務をキャンセルしたいところだが俺達は金が無い、おまけにたった二回目の任務を中断するなんてしたらギルドから信頼されなくなって任務を受けられなくなるかもしれない。どうやったらウルフドッグの群れを討伐出来るのだろうか……。
「屑、言い忘れてたけど今回の任務はウルフドッグの群れのボスだけ倒せばいいぞ」
「そういう大事な説明は最初に言うんだよバカ!とは言え群れのボスってどうやって見分けるんだ?」
「それなら簡単です群れのボスは目の色が違います通常は青ですがボスは赤です」
は?
「じゃあ最初に会った個体がボスだったってことか?」
和はリョウ君に質問した。
「そうです」
「マジか……、最悪じゃん。」
と、両手で撫でるように顔から頭頂部に動かした。
お前が最初に言っていたらこうなってなかったんだよ、バカ!……いや運がいいまたあいつがいる。
「そうでもないぞ。またあいつがいるぞ、赤目のウルフドッグが」
と、奥にいるウルフドッグを指差した。
「今度は僕一人置いてかないでくださいよ」
「勿論、ちょっと待っていて下さい」
俺は詩織に近づいた。
「ちょっ、何する気よ、変態」
「キャプチャー(拘束)」
俺はスキルを使って詩織を縄で縛った。詩織は縛られ体勢を崩し倒れた。
「これって女神の使っていたスキルか」
「あぁ便利そうだから覚えた」
俺は鼻息を荒し自慢げに答えた。
「これを持って行って下さい、そしたら一人じゃなくなります。では僕達は後方から支援しますので」
そう言った俺はリョウ君と詩織を置き少し離れた。そして俺に続いて和もその場から離れた。
「嘘よね、もうほんとに無理!」
可哀そうだな……とは思わない!任務中に酒を飲んでいるからだバカめ‼
「それではリョウさんお願いしますね」
「分かりました…」
詩織は暴れるが両手両足縛られていて身動きが取れない。
「助けてー!死ぬ!死ぬ!あいつら絶対にぶっ殺してやる!ちょっとあんたウルフドッグ倒せるの?」
と、リョウと目を合わせるために必死に上を向いている。
「屑さんたちの援護なしだと相打ち出来るかどうかって感じです」
「ならよかったプラスステータス、これで3分間だけ普段より段違いに強いはずだからとっとと倒してよ」
詩織はリョウ君の全ステータスにバフを掛けた。
「ありがとうございます」
と、剣を抜いてウルフドッグのボスに斬りかかった。反撃されそうなタイミングで俺と和がフレアで援護し討伐した。しかし他のウルフドッグに気づかれて追いかけられる。
「よし目標達成だ。逃げるぞ!」
俺は離れた位置から叫びテレポートでリョウ君たちに近づき再びテレポートで馬車まで逃げた。俺達は急いで馬車逃げた。
はぁー……、毎回こうなるのか?普通転生者にはチートスキルを渡すものだろ。あの女神何で渡し忘れてんだよ。
俺達は馬車に揺られボーっとしているとギルドに着いた。
「任務達成しました」
俺は受付で任務達成を報告した。
「お疲れさまです。報酬の五万ギラです」
受付嬢は五万ギラを俺に手渡した。
「ありがとうございます」
あれだけ命を危険に晒して五万ギラか……、人生は過酷だ。
「あの……、僕の分け前は?」
「二万ギラです」
俺は二万ギラをリョウ君に手渡した。
「私の分は今回も囮にされた分しっかりと貰うわよ」
「二万ギラやるから怒るなよ」
「やったー」
「俺のは?」
和は自分も貰えるのかと期待して聞いてきた。
「無いよ。俺も無いんだ、諦めろ」
五万ギラ稼いでも分け前で四万飛び残り一万は宿代で無くなるのか……、俺達この先やっていけるのだろうか。
「あの思ったんですけど、最初から真面目にやってれば簡単に討伐出来たんじゃないんですか?」
「いやー群れが来てたら倒せなかったと思うよ。二回目はあいつが吠える前に倒せたからうまくいっただけだし。」
和の言う通りだが詩織が真面目に戦えば間違いなく簡単に倒せたはずなのだ。
「やっぱりそう簡単な話じゃないんですね。あの最後に聞きたいんですけどなんで皆さんはその職業を選んだんですか?」
「死にそうになったらテレポートで逃げられるから」
「透明化で逃げたり覗きが出来ると思ったから」
「二日酔い治せたら毎日好きなだけお酒が飲めると思ったから」
「ダメだ。この人たち本当にクズなんだ」
流れるように俺達三人が冒険者として最低なことを言い、リョウ君は呆れてしまった。