第5話 おかしい、濡れ衣を晴らそうとしただけなのに
文字数 3,415文字
俺は東条屑。幼馴染の南詩織の居眠り運転で轢き殺された。あの世に行った俺達は女神に地獄に行くか魔王を討伐するかの二択を迫られ転生することにした。
朝日が部屋の中に差し込み小鳥のさえずりで俺は目を覚ました。
「ふわーぁ……、朝か。」
やはり夢じゃないか……。まあいいやお腹すいたな食堂に行くか。
俺はお腹を摩りながらベッドから起き上がり部屋を出た。食堂には和と詩織がいた。俺達は一つの机を囲むように座った。そこに宿主の女性が近寄って来た。
「おはようございます疲れは取れましたか?」
「はい。あの冒険者ってどこで任務探したら良いんですか?」
「それでしたら冒険者ギルドへ行くといいですよ」
「ありがとうございます」
へえギルドか異世界っぽくて良いな。
俺達は朝食を取り終え宿主に聞いたギルドの場所に移動した。冒険者ギルドの中には掲示板がありそこには任務が書かれている張り紙がたくさんあった。
「へー結構あるな、どれにする?」
と、和が眠そうに聞いてきた。
「初心者おすすめ任務でグリズリーベア討伐っていうのがあるけど、これなんかいいんじゃない?」
詩織は掲示板の張り紙の一つを指差した。
初心者おすすめか、安全そうだしこれで良いか。
「よし、じゃあそれにするか」
俺はその張り紙を手に取り受付のお姉さんの所に向かった。
「すいませんこの任務受けたいんですけど」
「グリズリーベア討伐任務ですね分かりました。ここから少し遠いですね千ギラお支払い頂ければ馬車をお貸しできますがどうしますか?」
千ギラでいいのか馬を借りるにしては随分と安いな。
「安いですね、是非お願いし」
「無駄使いは良くないぞ。屑。」
和が俺の発言を遮るように言った。
「全くその通りよ。屑」
詩織は和を後押しするように言った。
「確かにそうだが成功報酬は三万ギラだぞ。今いる宿は二部屋で一万ギラ馬車代は千ギラだから今日この任務を済ませれば一万九千ギラ増えるんだぞ。それに昨日詩織が稼いだ分もあるし任務達成すれば三十六万九千ギラ残るしいいだろ」
「ダメだ。勿体ない」
「そうよ、勿体ないものは勿体ないのよ」
何故こいつらはここまで節約に拘るんだ?おかしい別に普段のこいつらなら絶対止めないはずなのに……、何かあるな。
「お前らなんかおかしいぞ、何か俺に隠してないか?」
俺の一言で和と詩織の顔に汗が流れ始めた。
なんて分かりやすい奴らなんだ。でも一体何したんだ……、まさか……。
「お金を勝手に使ったんじゃないだろうな?」
俺は財布を手に取り中身を確認した。
「何もないじゃねえか!お前ら何勝手に全部使ってんだよ!」
と、二人の額をチョップした。
三十五万ギラもどうやって使えんだよ、このバカどもがマジで何考えてるんだ?
和と詩織は額を両手で押さえる。
「実は昨晩のことなんだけど……」
詩織が訳を説明し始めた。
時間は昨日の夜に戻る。
詩織は財布を持って宿を出て酒場へ向かった。酒場に着くや否や詩織はカウンターに座った。
「日本酒下さい。瓶で」
「あいよ。1本1万ギラね」
「10本下さい」
「あいよ。」
マスターは日本酒の栓を抜き詩織の手前に置いた。それを詩織が勢いよく飲み始めた。
「おぉ、飲むねー」
酒場の扉が開き和が入って来た。
「ブー……、ゴホッゴホッ和⁉」
詩織は口に含んでいた酒を噴き出した。
「あれー?詩織ぃ何を飲んでいるのかなぁー?」
と、ニヤニヤと薄気味悪い笑みを浮かべた。
「え……あ……日本酒……です。あ……あの和さんも飲みますか?」
詩織は冷や汗が滝のように流れ机が濡れた。
「勝手にお金を使ったことが屑にバレたら今度こそ見捨てられるかもなぁー?」
「そんな‼ひどい」
と、返品されないように急いでお酒を飲む。
和はこいつこの期に及んでも酒かよ!と思い呆れた。
「安心しろ。俺があそこのカジノで稼いでやるよだから十万ギラ渡寄越せ」
「和ぅありがとぉ」
詩織はすぐ和にお金を渡した。すでに日本酒を五瓶飲んでいた詩織は考えることを放棄していた。
「ありがとう、絶対に助けてやるからな」
和は嬉しそうに急いでカジノに向かった。
和はポーカーで十万ギラ全てオールインし見事和は無一文となった。一文無しになった和はカジノを出てトボトボと詩織のもとに向かった。
「そうだ、減ってるのがばれるといけないのなら全部使おう!」
和はカジノで一文無しとなりやけくそになっていた。
「いいられ!マスター日本酒十六本追加れ!」
詩織の酒にやられた頭はお酒が飲めるならどうでもいいと考えることをしなかった。
「まいど!」
時は現在に戻る。
「というわけです。チャンチャン」
詩織は申し訳なさそうに言った。
「何がチャンチャンだ!金がないなら今日の宿どうするんだよ⁉」
俺は怒りに任せて詩織の胸ぐらを掴み揺らした。
はぁ⁉こいつら一晩であれだけ使ったのかよ、信じられない。どんな頭してんだ。
「すいません」
「すいません」
「すいませんじゃあねえよ!このバカーお前ら本当にバカだ。よし決めた、詩織お前にはまた握手会をしてもらう」
俺は正座している詩織に対してビシッと指差して命令した。
「えぇー嫌よ、昨日握手する前に手に鼻くそや唾つけるような人がいたんだからーお願い他のことなら何でもするからー許してよー。」
詩織は俺に泣きつき懇願する。
泣きついたって許す訳がないだろ、このバカだよぉ‼
「ダメだ。他にお前に金を稼ぐ術なんてないだろ。和お前は今日一日奴隷だ、分かったな」
「はい」
和と詩織は下を向いて答えた。
こいつらはしょんぼりしやがってこっちが悪いことをしているみたいじゃないか、ならいっそのこと悪いことをしてやろう。
「あのすいません。やっぱり馬車はキャンセルで……。」
「あははは……大変ですね。」
ギルド受付嬢は苦笑いで答えた。
辛い!この苦笑いが辛い!絶対今俺達異常者だと思われている、このバカ二人はしょうがないが俺まで勘違いされるのは嫌だ!
俺達はギルドを後にした。グリズリーベア討伐のために森に向かって俺と詩織は並んで歩いているが和はその少し後ろを大荷物を持ち歩いている。
「はぁ……はぁ……屑少し待ってくれ……荷物が重くて」
「屑?屑さんだろ?」
「はぁ……屑さんなんで……こんなに荷物重たいんですか?」
うーん、奴隷に好き勝手文句言うのは気持ちいいな。
「お前の部屋の荷物を全て持って来ているからだ」
「屑さん、なぜそのようなことを?」
「俺の杖だけじゃあ重たくないからな。それに俺の荷物や詩織の空の酒瓶だとしたら捨てるっていう選択肢をお前が取るかもしれないからお前の荷物にしたわけだ」
俺は振り返って答えた。
フハハハハ、どうせ荷物を運ばせるならより重い荷物を運ばせる方が楽しいのだ。
「えぇー……。」
和の声から力が感じられない。
いいぞ、ざまあみろ、このバカが!勝手に金をすべて使った罰だ。次は何を命令してやろうか……、楽しくて、楽しくて仕方ないな。
「もう二度と勝手にお金を使うのはやめるわ」
「俺もだ」
「どっち道そんなこともう出来ないぞ。俺がお金を管理するからな」
「もっと早くそうして欲しかったわ、屑が管理するのが遅いからこうなったのよ。はぁー最悪だわ。」
何で俺のせいなんだよ……、握手会の時間を長くしてやろう。
「着いたな」
俺達は街外れの森の入り口に辿り着いた。目の前には深い緑の山が広がっている。
「やっとか」
和は荷物を置いた。
「ご苦労奴隷では森の中に進むぞ。奴隷お前は荷物を持って来い」
「え~、今置いたばかりなのにですか?」
「そうっ!今置いたからだっ!」
「あっ……。」
和は絶望のあまり口から言葉が漏れた。
フッフッフ、やっと和も理解したようだな。俺は和を奴隷のように扱き使いたいわけではない、ただただ嫌がらせをしたいだけなのだ。
「やりすぎじゃない?私は本当に握手会だけで済むの?もしかしてエッチなことまでする気じゃないでしょうね?冗談じゃないわよ」
と、詩織は自分自身のことを抱きしめる。
「顔だけ女勝手に決めつけんな、そんなロリガキみたいな体に興奮するかよ。」
「うるせえ!殺すぞ!」
「ゴハッ!」
詩織は一撃で俺を殴り倒した。
「おかしい、濡れ衣を証明しようとしただけなのに」
なんて理不尽な奴なんだ、このクソ女が俺は殺されたことも許してやったっていうのに……、握手会だけじゃダメだ。もっともっと復讐してやる。
「人の体を馬鹿にした罰よ」
朝日が部屋の中に差し込み小鳥のさえずりで俺は目を覚ました。
「ふわーぁ……、朝か。」
やはり夢じゃないか……。まあいいやお腹すいたな食堂に行くか。
俺はお腹を摩りながらベッドから起き上がり部屋を出た。食堂には和と詩織がいた。俺達は一つの机を囲むように座った。そこに宿主の女性が近寄って来た。
「おはようございます疲れは取れましたか?」
「はい。あの冒険者ってどこで任務探したら良いんですか?」
「それでしたら冒険者ギルドへ行くといいですよ」
「ありがとうございます」
へえギルドか異世界っぽくて良いな。
俺達は朝食を取り終え宿主に聞いたギルドの場所に移動した。冒険者ギルドの中には掲示板がありそこには任務が書かれている張り紙がたくさんあった。
「へー結構あるな、どれにする?」
と、和が眠そうに聞いてきた。
「初心者おすすめ任務でグリズリーベア討伐っていうのがあるけど、これなんかいいんじゃない?」
詩織は掲示板の張り紙の一つを指差した。
初心者おすすめか、安全そうだしこれで良いか。
「よし、じゃあそれにするか」
俺はその張り紙を手に取り受付のお姉さんの所に向かった。
「すいませんこの任務受けたいんですけど」
「グリズリーベア討伐任務ですね分かりました。ここから少し遠いですね千ギラお支払い頂ければ馬車をお貸しできますがどうしますか?」
千ギラでいいのか馬を借りるにしては随分と安いな。
「安いですね、是非お願いし」
「無駄使いは良くないぞ。屑。」
和が俺の発言を遮るように言った。
「全くその通りよ。屑」
詩織は和を後押しするように言った。
「確かにそうだが成功報酬は三万ギラだぞ。今いる宿は二部屋で一万ギラ馬車代は千ギラだから今日この任務を済ませれば一万九千ギラ増えるんだぞ。それに昨日詩織が稼いだ分もあるし任務達成すれば三十六万九千ギラ残るしいいだろ」
「ダメだ。勿体ない」
「そうよ、勿体ないものは勿体ないのよ」
何故こいつらはここまで節約に拘るんだ?おかしい別に普段のこいつらなら絶対止めないはずなのに……、何かあるな。
「お前らなんかおかしいぞ、何か俺に隠してないか?」
俺の一言で和と詩織の顔に汗が流れ始めた。
なんて分かりやすい奴らなんだ。でも一体何したんだ……、まさか……。
「お金を勝手に使ったんじゃないだろうな?」
俺は財布を手に取り中身を確認した。
「何もないじゃねえか!お前ら何勝手に全部使ってんだよ!」
と、二人の額をチョップした。
三十五万ギラもどうやって使えんだよ、このバカどもがマジで何考えてるんだ?
和と詩織は額を両手で押さえる。
「実は昨晩のことなんだけど……」
詩織が訳を説明し始めた。
時間は昨日の夜に戻る。
詩織は財布を持って宿を出て酒場へ向かった。酒場に着くや否や詩織はカウンターに座った。
「日本酒下さい。瓶で」
「あいよ。1本1万ギラね」
「10本下さい」
「あいよ。」
マスターは日本酒の栓を抜き詩織の手前に置いた。それを詩織が勢いよく飲み始めた。
「おぉ、飲むねー」
酒場の扉が開き和が入って来た。
「ブー……、ゴホッゴホッ和⁉」
詩織は口に含んでいた酒を噴き出した。
「あれー?詩織ぃ何を飲んでいるのかなぁー?」
と、ニヤニヤと薄気味悪い笑みを浮かべた。
「え……あ……日本酒……です。あ……あの和さんも飲みますか?」
詩織は冷や汗が滝のように流れ机が濡れた。
「勝手にお金を使ったことが屑にバレたら今度こそ見捨てられるかもなぁー?」
「そんな‼ひどい」
と、返品されないように急いでお酒を飲む。
和はこいつこの期に及んでも酒かよ!と思い呆れた。
「安心しろ。俺があそこのカジノで稼いでやるよだから十万ギラ渡寄越せ」
「和ぅありがとぉ」
詩織はすぐ和にお金を渡した。すでに日本酒を五瓶飲んでいた詩織は考えることを放棄していた。
「ありがとう、絶対に助けてやるからな」
和は嬉しそうに急いでカジノに向かった。
和はポーカーで十万ギラ全てオールインし見事和は無一文となった。一文無しになった和はカジノを出てトボトボと詩織のもとに向かった。
「そうだ、減ってるのがばれるといけないのなら全部使おう!」
和はカジノで一文無しとなりやけくそになっていた。
「いいられ!マスター日本酒十六本追加れ!」
詩織の酒にやられた頭はお酒が飲めるならどうでもいいと考えることをしなかった。
「まいど!」
時は現在に戻る。
「というわけです。チャンチャン」
詩織は申し訳なさそうに言った。
「何がチャンチャンだ!金がないなら今日の宿どうするんだよ⁉」
俺は怒りに任せて詩織の胸ぐらを掴み揺らした。
はぁ⁉こいつら一晩であれだけ使ったのかよ、信じられない。どんな頭してんだ。
「すいません」
「すいません」
「すいませんじゃあねえよ!このバカーお前ら本当にバカだ。よし決めた、詩織お前にはまた握手会をしてもらう」
俺は正座している詩織に対してビシッと指差して命令した。
「えぇー嫌よ、昨日握手する前に手に鼻くそや唾つけるような人がいたんだからーお願い他のことなら何でもするからー許してよー。」
詩織は俺に泣きつき懇願する。
泣きついたって許す訳がないだろ、このバカだよぉ‼
「ダメだ。他にお前に金を稼ぐ術なんてないだろ。和お前は今日一日奴隷だ、分かったな」
「はい」
和と詩織は下を向いて答えた。
こいつらはしょんぼりしやがってこっちが悪いことをしているみたいじゃないか、ならいっそのこと悪いことをしてやろう。
「あのすいません。やっぱり馬車はキャンセルで……。」
「あははは……大変ですね。」
ギルド受付嬢は苦笑いで答えた。
辛い!この苦笑いが辛い!絶対今俺達異常者だと思われている、このバカ二人はしょうがないが俺まで勘違いされるのは嫌だ!
俺達はギルドを後にした。グリズリーベア討伐のために森に向かって俺と詩織は並んで歩いているが和はその少し後ろを大荷物を持ち歩いている。
「はぁ……はぁ……屑少し待ってくれ……荷物が重くて」
「屑?屑さんだろ?」
「はぁ……屑さんなんで……こんなに荷物重たいんですか?」
うーん、奴隷に好き勝手文句言うのは気持ちいいな。
「お前の部屋の荷物を全て持って来ているからだ」
「屑さん、なぜそのようなことを?」
「俺の杖だけじゃあ重たくないからな。それに俺の荷物や詩織の空の酒瓶だとしたら捨てるっていう選択肢をお前が取るかもしれないからお前の荷物にしたわけだ」
俺は振り返って答えた。
フハハハハ、どうせ荷物を運ばせるならより重い荷物を運ばせる方が楽しいのだ。
「えぇー……。」
和の声から力が感じられない。
いいぞ、ざまあみろ、このバカが!勝手に金をすべて使った罰だ。次は何を命令してやろうか……、楽しくて、楽しくて仕方ないな。
「もう二度と勝手にお金を使うのはやめるわ」
「俺もだ」
「どっち道そんなこともう出来ないぞ。俺がお金を管理するからな」
「もっと早くそうして欲しかったわ、屑が管理するのが遅いからこうなったのよ。はぁー最悪だわ。」
何で俺のせいなんだよ……、握手会の時間を長くしてやろう。
「着いたな」
俺達は街外れの森の入り口に辿り着いた。目の前には深い緑の山が広がっている。
「やっとか」
和は荷物を置いた。
「ご苦労奴隷では森の中に進むぞ。奴隷お前は荷物を持って来い」
「え~、今置いたばかりなのにですか?」
「そうっ!今置いたからだっ!」
「あっ……。」
和は絶望のあまり口から言葉が漏れた。
フッフッフ、やっと和も理解したようだな。俺は和を奴隷のように扱き使いたいわけではない、ただただ嫌がらせをしたいだけなのだ。
「やりすぎじゃない?私は本当に握手会だけで済むの?もしかしてエッチなことまでする気じゃないでしょうね?冗談じゃないわよ」
と、詩織は自分自身のことを抱きしめる。
「顔だけ女勝手に決めつけんな、そんなロリガキみたいな体に興奮するかよ。」
「うるせえ!殺すぞ!」
「ゴハッ!」
詩織は一撃で俺を殴り倒した。
「おかしい、濡れ衣を証明しようとしただけなのに」
なんて理不尽な奴なんだ、このクソ女が俺は殺されたことも許してやったっていうのに……、握手会だけじゃダメだ。もっともっと復讐してやる。
「人の体を馬鹿にした罰よ」