人工怪異
文字数 1,526文字
失楽園の蛇
怪異なんだが、異界には三つのタイプで区分されている。『怪』『怪異』『妖怪』の三つだ。区分の基準はよくわからんのだが、これら異界の住人は人間に興味を示さない。俺たちの世界、『現界』にやってきたとしても、八大の蛇がうまく『異界』へ帰してる
だから異界の住人は倒すべき敵じゃないんだが、やっかいなのは『人工怪異』だ。人工怪異は、現界にいる人間が何かの拍子に異界に行ってしまい、異界の瘴気にあてられてなるもの。この人工怪異自体、異界の住人にとっては危険性はないんだが、やっかいなことに現界では人間を襲うんだ。しかも現界と異界の両方を行き来する能力を持つオマケ付き。だから討伐対象になる
怪異を狩ることによって、お上から銭を稼いできた者たちのことで、私のご先祖さまになる。それで私たち磐鬼の一族は発展してきた。世間には知られてないけどね。だがあの男、連合国軍最高司令官ダグラス・マッカーサーがやってきて、財閥を解体したように、伐採人の組合も解体し、自らが属する宗教へ改宗させられた
聖公会の信徒だったのよ。日本にキリスト教を広めたからね。怪異をようしゃなく狩る伐採人を野蛮だと感じたみたいね。磐鬼さんとこは、私たちに仕事を依頼してくる元締めの宗教団体『失楽園の蛇』に目をつけられてるからねぇ
やつらとは考え方が違うから。外国にも異界や怪異は存在するけど、『神の使い』として扱っているらしいよ。日本では陰陽師なんかが鬼をようしゃなく狩ってたけどね。ちなみに彼らにとっては、悪魔とは人工怪異のことね
はい。八岐大蛇とは出雲国で八人の娘を食物として要求した怪物ですよね。スサノオという神が、櫛名田比賣を櫛の姿に変え、強い酒を大蛇に与えて、眠り込んだところを退治したという。蛇の尻尾には、草薙の太刀があり、アマテラスに献じたんですよね?
と、いうことで、日本の伐採人たちが集まる『八大の蛇』は、外国からやってきた『失楽園の蛇』からの依頼で、怪異を狩るようになった。怪異を狩るといっても人工怪異だけだ。もしほかの怪異を狩りでもしたら重い懲罰が待ってるから気をつけろ