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文字数 5,163文字

『上級メイキング ~細かな描き込みと色合いを調和させる~』

kyogench

それでは、こちらのルームでは上記のイラストメイキングをしていきたいと思います!


やっている事は結構シンプルなのですが、少し専門的なメイキングになるかもしれません。

分からない点がありましたら、お気軽に質問ください^^

いきなりで申し訳ないのですが、完全なラフが残ってなかったです・・・


このイラストは自分用の為、ラフも簡単な物でした。

どこに何があるのか自分でざっくりわかればOKって感じです。

後描き込みが多いので全部描いていたら終わらない・・・と言う事で、自分用のメモ程度ですね。

でも線画の際に、形を整えていく作業が必要になるので、それもそれで大変でした(^^;)

今回の場合は、まずは空間を決めて、そこからキャタクターを置いていく感じでイメージ練りあげていきました。

この時点でパースの決定もしてます。

出来上がった線画がこちら!

違うデータですので、レイヤー構成は無視してくださいね。


大体のレイヤーフォルダーは

「手前動物」「女の子」「テーブルと小物」「テーブル後ろ動物」「その後ろ動物と小物」「背景」くらいですね。

重なりが多い絵はレイヤー数が増えてしまうので、データ3分割くらいにします。


今回は塗りよりも線画で描く画面をイメージしましたので、いつもよりも線画の描き込みが多めです。

動物の毛並みや服の皺など、なるべく拾って描いています。

かなりの時間を要しましたが、コツコツ地道に描くのみ!


塗り分け作業をしていきたいので、まずは各モチーフの色の決定をしていきます。

色の選定には結構こだわるので、今回は色用にデータも作りました。


各モチーフに想定される色を配置

今回は明度が高くて、白い印象の完成イメージがあったので、色を置いたレイヤーを50%くらいの表示にして、淡くしました。

そこから色々と効果レイヤーを置いてみて、お気に入りの色のトーンを探ります。

今回は白の不透明20%ソフトライト50%くらいをかけて、かなり淡い色になりました。

ここから影を足していくので、心持ちょっと薄すぎるなぁ~という色を最初に置きます。

でも前の状態よりもトーンが揃ったので、全体的にまとまりがありますよね。

さらに、淡いトーンの中でもだれてしまわないように、逆光の演出をしようと作戦を立てました。

奥の窓からの光が、淡いトーンの中でも明暗のリズムを画面に出してくれる事を狙っています。


ここまでは着彩の一人作戦会議です。

着彩に入る前に、少しだけこうして完成までに道のりを整理すると、後から悩んだりしないので、オススメします!

そして出来上がった下塗りがこちら。

色を塗り分けたら、モチーフがよく見えてきましたね^^


こちらのイラスト「jam 少女はジャムの味を知った」と名付けています。

コンセプトは、白い少女が甘い禁断の味を知ってしまう・・・

というイメージだったので、ジャムだけ全体の配色に似合わないくらい赤赤とさせました。

配色のおかげで、まずジャムのある中心に視線が行きますよね。

では手前に居る、犬と羊から!


普段でしたら目や角など本体とレイヤーを分けて塗り分けますが、今回は画面との一体感を出すため、一つの塊として描こうと決めました。

少しだけ影のグラデーションを置いて、角や目の色を本体の塗り分けにクリッピングします。

その次に、青と茶色のグラデーション通常レイヤー30%表示をクリッピング、さらに光が当たる部分は消しゴムでポンポンと消します。

デジタルで動物を描く時に気を付けたいのが、のっぺりツルツルした質感に仕上がってしまう事です。

羊でしたら、モコモコと毛の凹凸があるので、あまりぼかし過ぎず潔くポンポンと光を削る事、犬でしたら毛並みの流れがあるので、それに沿って光を抜く事が大事かな?と思います。

濃い筆、または水彩筆などを使って、ボカシ筆はあまり使いません。

前の画面で描いた、レイヤーを複製、透明ピクセルをロックします。

そして表示100%にして、乗算レイヤーに変更。

色は灰色にして逆光に見せます。

さらに濃い部分にもポンポンと濃い灰色を置いて、影の中で2段階ができて、逆光だけではなくて、動物の凹凸も少し分かるようになりました。


最初に不透明30%を置くのはなぜか?についてですが、このイラストは逆光なので影の範囲が圧倒的に多くなります。

影がだだの灰色だけだと、ペッタリして面白味にかけるので、少し色見の中にグラデーションをかける事によって影の中にもリズムが生まれると思うんですね。

いつもこうしているわけではないです。

今回はこうしてみよう!と言う完全な思いつきです!

ここからも使うのはほぼこの色たちのみです。

今回はともかく画面の調和を大事にしたかったので、個々のモチーフの主張は控えさせてました。

色を乗せた後、どうも線画が弱くなってしまったのが気になったので、線画を複製して焼き込みカラー60%でより目立つようにしました。

また、線に少し濃い薄いが出て柔らかさも出してくれます。

それから、動物の瞳にハイライトも入れました。

次に女の子立たちを描いていきます。


前と同じく、不透明30%の青と茶色のグラデーションを全体の塗りフォルダにクリッピング、光の当たる部分を削ります。

髪の毛でしたら毛並に沿って、洋服でしたら思い切ってパキッと抜いてしまいましょう。

”画面のダレ”がこの絵では一番の敵だと思っています。

レイヤーを複製して、透明ピクセルをロック、標示100%にして乗算

グレーのグラデーションにしました。

この二人のキャラクターはメインなので、レイヤーをパーツに分けてもう少し描き込んでいきます。


二人の肌、尻尾、猫耳にもう一段階影を置いています。

逆光の光の縁なんかにも一段濃い影を置くとそれっぽく見えますね。

肌は柔らかく、毛はパキッとメリハリをつけて塗ります。

目や洋服、リボンなどにも細かな影をつけていきました。

濃い水彩筆か、ペンで塗ってボカシ筆で部分的にぼかしています。

赤いジャムの瓶にももう一段階影が入りました。

素材の質感には気を付けて塗っていきます。

髪の毛にも細かい影が入りました。

髪の毛が出来上がると、キャラクターが仕上がった感が増しますよね!

瞳にもハイライトを入れます。

やっとキャラクターが息をしだしました!

手前の動物を描いた時と同じように、線画を複製して焼き込みカラー50%くらいで、線画がもう少し見えるようにしました。

より見やすくなったと思います。

後はひたすらこの作業を全てのモチーフに行っていくだけです!


テーブルの上、テーブル、椅子、奥の動物・・・

不透明30%で光を抜いたグラデーションレイヤーを描いて、複製、透明ピクセルをロックして100%表示の乗算に変更、もう一段階暗い部分を描き込む。

ハイライトを入れて、線画を複製して、焼き込みカラーで重ねる。


気が遠くなりそうですがコツコツと、一気に描くのは大変なので、今日はここまで!と途中段階の目標を決めておけば、毎日の達成感が得られるので続けやすいですね。

どんな時でも中ダレしてしまわないように、楽しんで!

テーブルが少し明るいように見えたので、二人の影が落ちているように一枚乗算レイヤーを足しました。
画面右側のソファーや鳥たちもこんな風に描いています。

このアヒルが特にお気に入りだったので、疲れてきたらこのアヒルを見てモチベーションを上げました^^

奥の豚、ソファーの猫たアヒル、ウサギ、テーブル下のリスと亀

も同じ方法で描いていきます。

モチーフが多いですが、決して画面全体の統一感は崩してしまわないように、描き込みすぎにも気を付けなくてはいけません。

それではそろそろ背景にも取り掛かっていきます。

大体は線と塗りで描いているのですが、このモコッとした草なんかは、葉っぱスタンプにレイヤー境界効果をつけて線画みたいにしています。

スタンプも、不自然にならないのならどんどん活用していきましょう!

葉っぱにも、今までと同じようにレイヤーを重ねます。

ただ、線画レイヤーはないので、不透明30%と乗算レイヤーのみですね。

それでは、このごっちゃりした棚も描いていきましょう!

ちなみに私、お部屋の棚なんかを描くの好きなんです。

そのキャラクターが、どういうのを使うのかなぁ~とか、どういった物を好むのかなぁ~と想像するのが好きなんです。


こちら塗り分けは、棚、中身、手前の葉っぱと一応分けていますが、陰影をつける上で’棚’という一つの物体として一塊で居て欲しいので、陰影のレイヤーはフォルダー全体にかけます。

描き方は全く同じで、青と茶色のグラデーションレイヤーを30%表示、光が当たる部分を消しゴムで抜きます。

消しゴムで立体を描くイメージで、その物体の形の添ってパキッと抜きます。

出来たら、レイヤーを複製して100%表示でグレーで乗算、さらに濃い部分は濃いグレーを入れます。

これもコツコツと焦らず、全体を見ながら進めます。

線画レイヤーを複製して、焼き込みカラー60%で線を濃くしました。

ごちゃごちゃした棚ですが、全体の一体感は出てくれていると思います。


ところで可愛い蛙が潜んでいる事、気づきましたでしょうか?^^

いつでも遊び心は忘れず、楽しんで描きましょ~

窓際のネズミ、狐ガチョウ等々、奥のモチーフも同じ方法で描けました!

ここまで長かった!

やっていることはずっと同じなのですが、何せモチーフが多いと作業量も半端なく多いです!><


では今度は床の影を入れていく作業です!

不透明30%レイヤーをおいて、グラデーションをかけたら、今度はグレーで乗算

床がグッと下に落ち着いてくれましたね。

床が安定すると、キャラクター達も画面に落ち着いてくれます。

テーブルの下、亀達が浮いている気がしたので、さらに乗算でレイヤーをかけました。


窓、扉の隙間から見える外の風景を少しだけ描き足していました。

締め切った空間ですが、ほんの少しでも奥に広がって狭苦しくなり過ぎないように意識しています。

ではここから仕上げの作業!

データもレイヤー構成変わっています。

分けていたレイヤーフォルダーはこのデータでは統合して、統合したレイヤーにソフトライトレイヤーを50~60%でクリッピング。

手前の犬と羊、下部が暗くて上部が明るいのが分かりますでしょうか?

次は女の子たちにも・・・

ボカシ筆でポンポンと暗い所には濃いグレーを明るい所には薄いグレーを置いていきます。

より一つの塊としても陰影がまとまりました。

同じようにして、他の動物やテーブルなんかにもソフトライトレイヤーをかけていきました。

私はソフトライトは仕上げの時によく使うレイヤーです。

その他はオーバーレイ、スクリーン、覆い焼き発光、カラー、などが好きですね。

本当にこれは人さまそれぞれなので、皆様どうやっているのか私が聞いてみたいです!@@

背景にもソフトライトを入れました。

奥の窓際は明るくて、手前左下は暗くなりましたね。

でも、まだ画面がペッタリして見えるので、もう少し全体をまとめていきましょう!

表示レイヤーのコピーを統合して、ぼかしてグレーにしました。

これを上に持って来て・・・

ソフトライト50%くらいにして全体的にかけました。

全体的にメリハリと、明るい部分の彩度が上がりました。

そして、画面全体の明暗のリズムが欲しかったので、トーンカーブレイヤーで手前は下げて暗くした物をレイヤーマスクで表示、奥はトーンカーブを上げて明るくした物をマスクで表示しています。

この作業画面ではトーンカーブレイヤーじゃないですが、同じ事をやってますので。

レイヤーマスクは、ボカシ筆でポンポンとおいて馴染ませるように表示しています。

さらに手前の明暗を強くして、グッと前に出したかったので、濃いグレーのグラデーションをソフトライトでかけました。

どうでしょうか?

目を細めた時に、右上から左下にかけて明暗のグラデーションのリズムがあります。

最後の仕上げ!

画像素材レイヤーで古紙などの素材を読み込んで、質感合成をして完成!

デジタルイラストの中にも紙の古びた質感が出て、雰囲気をだしてくれます。


この古紙素材は私はよく使います。

最後の最後、グッと雰囲気を出してくれるので良いですよぉ~


完成!

ここまで長かった!!

初級メイキングでも言いましたが、イラストが完成したら、自分で自分を褒めて褒めて褒めちぎってあげましょう!

頑張った!今回は大変だった!よう完成させた!


SNSにアップして反応がなかった・・・なんて関係ないです!

自分が一番の自分の絵のファンじゃないと、心が折れてこんなしんどい作業をまたやろうとは到底思えません(-_-;)

反省会はまた後からいくらでもできるので、完成した時くらいは自分を褒めてあげましょう^^

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登場人物紹介

名前:広瀬コウ (Kou Hirose)

絵を描く雨蛙。

ラノベ、TL、BL、一般電子書籍イラスト多数担当。
共幻社作品、表紙も数多く手掛ける。
その他アプリゲームイラスト、マスコットキャラクターデザイン、演劇作品、同人乙女ゲーム・ギャルゲーイラスト、CDジャケット、アパレルDM用人体イラストなど
様々な媒体、ジャンルで活動中のイラストレーター。

pixiv:https://www.pixiv.net/member.php?id=2928784
HP:http://mtfrog.web.fc2.com/index.html
Twitter:@hirosekoudesu

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