第3話-③

文字数 508文字

真女子、ちょいと手伝うてはくれぬか。
(はい、義姉(おねえ)(さま)

それからというもの、真女子は(うち)へ住み込み、

誰よりもよく働いた。

姉上に寄り添い、店を切り盛りした。

気づけばもう、一月ひとつきが過ぎていた。

真女子との暮らしが、当たり前のようになっていた。

真女子が物の怪なら、とうに尻尾を出していることだろう。

けれどそんな様子は微塵もなかった。

あれは本当にようできた娘子だ。またといないぞ。

どうだ? 弟もひとり身では淋しかろう。

豊雄と真女子は、まるで二本杉のように離れられぬ宿縁があるのでしょう。

お似合いですわ。

姉上夫婦を仲人に、私は真女子と祝言を挙げた。

真女子の頬が赤らむのを見て、こんなにも奥ゆかしい人を物の怪と見なし、

取り乱したとは・・・・・・

このとき、私は己を恥じていた。

旦那様・・・・・・
その夜、私は真女子と二人、寝間に入った。
もう一度、千年の契りを交わしとうございます。

着物の襟が乱れて、真女子の白い肩が露わになったとき、私は・・・・・・

考えてみれば、こんなにも美しい人が私なんぞを好いてくれるとは・・・・・・

私は真女子が愛おしくなり、夜が明けるまで離さなかった。

いや、もう離すまいと、そう思った。

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登場人物紹介

豊雄(とよお)

真女子(まなご)

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