「どうしても突っ込んでおきたいことがあるんだが」
文字数 1,484文字
一気に中ほどまで突き進んで、少し不安を覚え始めた。
無論、別に今更。改めて『死んだ』ところでどうってことはねえが。
ここに来るまでにオレが『死んだ』回数を思えば有り得そうな話でもあった。いや、そう言えばオレは魔法以外のあいつの実力はまだ、知らないが。
……別に、それすら、「だから何だ」という話ではあるんだが。
ただやっぱ、そうだと、少し癪だな、とは思った。
そんな風に思いながら、この階の地図の2/3程を埋めたところで……
……そいつは、居た。
三匹の魔物に囲まれながら戦っている。正面の敵が動かなくなったところで、鷹の魔物が旋回し、側面から急降下して襲い掛かろうとする。
そいつは振り向いて……よけきれないと悟ると同時に、ついでに、オレが視界に入った……ように見えた。
苦笑するような、申し訳なさそうな表情に変わった気がして──オレは、何かを、悟って。
鷹の魔物を、オレの武器の穂先が貫いて止めていた。
言いながらも、そいつは最後の一体を冷静に討ち倒していく。
それ……どう考えても、ここでもぶっちぎりの成績じゃねえのか……。
結局、──
言ってこいつは、オレの前ですらりと武器を抜いた。
何かを思い詰めるように、じっとそれを見つめている。