第4話 ミステリーなのは百も承知

文字数 1,071文字

いよいよ待ちに待ったGW(ゴールデンウィーク)である。俺は前々から用意していたGWケーキをテーブルの上に置いた。よりいっそうGWを堪能するために部屋の明かりを暗くして、ケーキには蝋燭をプラスして。

ゴールデンウィークおめでとう!

一人でクラッカーを鳴らすのは少し虚しかったけど、俺は自作のGWソングを大声で歌うことで、その虚しさを補った。

素敵なゴールデンウィークはなんと入会金が無料……

喉が枯れるほど熱唱し、ケーキを平らげて、それから外着に着替えて外に出た。





家を出てから俺は神社に寄ってGWのお参りをした。

ゴールデンウィークが当たりますように…

と、願い事をした後、雑貨屋に向かった。貧乏な俺だけど、せめてGWぐらいは自分へのご褒美にGWプレゼントを買うつもりだった。それは以前に雑貨屋のコスプレコーナーで見かけてから欲しかったセーラー服だ。

やっぱりGWは可愛らしい女の子でいたいわ……

俺は独り言を呟いて、そのセーラー服を購入した。






雑貨屋からそのまま職場に向かった。俺の職業は漁師である(パート)

事務所の更衣室に入ると、先輩のタロウさんが着替えていた。

GWおめでとうございます!

GWの挨拶をして、俺は着替えを始めた。さっそく、さっき買ったセーラー服を身に付けた。更衣室の鏡には可愛らしい自身が映し出されて、思わずはにかんでしまった。

その時、タロウさんの視線に気付いた。

まるで獲物を狙うケダモノのような目で私を見ている…

身の危険を感じた俺は警戒心を抱きながら次に化粧を始めた。

実のところ、今日ぐらいはタロウさんに抱かれてもいいかな、と思った。

だって今日はGWなんだもん。

しかし、それは愛しのGWを裏切る行為であり、いくらGWだからといって許されることではなかった。

馬鹿な女でごめんね…GW…

GWに対して、短時間でも心変わりをした自分を責めて、俺は一粒の涙を流すのだった。

「先輩、それでは失礼します。よいゴールデンウィークを!」

そう言って、着替えと化粧を終えた俺は自身とは全く無縁の会社の事務所を後にした。

さて、帰宅。

それで、GWと言えばやはり子供の日である。俺は四つん這いになると子供の日に因んでハイハイをして家に向かった。

バブゥー

だが、すぐに気力と体力を失い、タクシーに乗った。

そして、自宅前。

その支払い時に子供料金が適用されないことで俺は怒り、タクシーの運転手と口論になった。

バブゥー!

あくまでも童心に戻って駄々をこね、泣きじゃくった。

しかし、所持金十二円の俺は無賃乗車の罪によって切腹の刑に。




こうして、俺の短い生涯とGWは幕を閉じたのであった。
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