【2/14ロボ】廊下ではお静かに
文字数 1,908文字
頼まれたとおり、より火力が出る術式に改良してみたんやけど、あとは発動時の衝撃に火食鳥が耐えられるかどうかってとこやな。
耐久力に関しては僕のほうで装甲の素材から見直してみるよ。
それか物質強化の術式で補うって手もあるで。そっちのほうが重さも変わらんしええんちゃうか?
いや、それだと火力に回す分の魔力が減ってしまうからね。機械工学で解決できる部分は、できるだけ自分で調整してみようと思う。
さよか。
ま、耐えれるかどうかは実際に走ってみぃひんことには何とも言われへんし、早速実験棟で試してみよか。
実験棟へ移動するため2人が廊下へ出ると、なにやら騒がしくしている人影が見える……。
俺には一方的に追いかけられとるように見えるんやけど。
あ、分かっとるとは思うけど、こんなとこで火食鳥つこて走ったらあかんで。
その時、テツがロボたちの姿に気がついた様子で、走る速度をそのままにこちらへと近づいてくる。
あいつ俺のことやたらと追いかけ回してくるから苦手なんだよ……。
ニコラが?追いかける言うてもちょこまかして可愛いもんやないか。それはそうと俺を盾にすんのやめてくれへん?
Ola、ニコラ。今日も元気やな~。こんなとこまで来るなんて珍しいなぁ。
ニコルは何か思い出したのかハッとした表情を浮かべると、おもむろにラッピングされた小さな包みを取り出し、ロボへと差し出す。
ニコルね、ロボお兄ちゃんにプレゼントを渡したくて探してたの!
ロボお兄ちゃん、お誕生日おめでとうなの!
そんなもんわざわざ用意せんでええのに……ま、ありがとうな。
早速開けてみてもええか?
お、ええ感じのアイマスクやな~。これニコラが選んだん?
うん!お昼寝する時いつも使ってるでしょ?
ニコルね、ロボお兄ちゃんが喜んでくれそうなもの、いっぱいいっぱい考えたの!
なんだ、あんた誕生日だったのか?言ってくれりゃあ何か用意したのによ。
……ま、今度飲みに行った時に奢ってやるからそれで勘弁してくれ。
言うたな?ほんなら折角やし店で一番高い酒注文したるわ。
なっ!?てめぇ……まぁいい、男に二言はねぇ。なんでも好きなもん奢ってやらぁ。
冗談の通じへん奴やな~。
……ま、楽しみにしとくわ。
みんなに先を越されてしまったな。僕も考えてはいたんだけどね……ロボさんはこういうの興味あるかい?
のみのいち?Jさんがこの前お仕事で行った場所なの!ニコルも行きたかったなぁ~……。
へ~、こんなんやっとるんか。古いもんがようけありそうやし、おもろそやな。
金を渡すんじゃいつもと同じで味気ないと思ってね。
どうせならここでロボさんの欲しいものをプレゼントしようかと思うんだが、どうかな?
ほんまに?好きなもん選べるんはありがたいわぁ。
それやったら今度の日曜に一緒に行ってみよか。
あ、僕はトレーニングも兼ねて走っていくから朝7時に現地集合でよろしく。
でもロボお兄ちゃん、朝早くに行かないと良い品物はすぐ売れちゃうんだってJさんが言ってたよ?
どうせ起きてるんやからええやろー、減るもんとちゃうし。
いや、確かに起きてるけどよ……てかなんでそんなこと知ってんだ?
カロルが騒がしい彼らを見守る中、ロボは迷惑そうにしながらもこの賑やかさを楽しんでいるように思える。
相変わらずの半眼で冷たい印象を与えるその瞳が、ほんの少しだけ温かい光を宿しているように見えるのは、きっと気のせいなどではないだろう。
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