第8話 「ふたり」になった日
文字数 1,177文字
恋愛に興味が無かった。
意外と思われるかもしれないけれど。
彼氏がいなくても充実していた。
可愛いインテリアに囲まれた自分の部屋。
暖かいハーブティーを飲みながら楽しむ読書。
華やかなショップが並ぶファッションビル。
お気に入りのお洋服を見つけ出すショッピング。
それから──
女友達との気兼ねないおしゃべり。
恋をしなければ、
怒ったり傷付いたりすることも少なくて。
友達の恋愛トークは、テレビドラマと変わらない娯楽になる。
ごめんね、
あのね、
彼氏はいらないの。
最近よく遊ぶようになった友達がいる。
実は、高校時代には一度も話したことが無かった。
彼女は千晴。
高校の時、とても人気のあったカッコいい女の子だ。
見た目は凛々しくてスタイルの良い美人。
そして性格も男前で、私を優しくエスコートしてくれる。
まるで…
告白をされたのは初めてで。
女性からなんて余計に初めてで。
だけど。
恋愛に興味が無かった。
ひとりで充分楽しいと思っていた。
でも本当は、憧れてた。
素敵な素敵な王子様。
目の前にいるこのカッコいい女の子が、そんな存在になってくれるって、
私は、確信した。