第8話 「ふたり」になった日

文字数 1,177文字

恋愛に興味が無かった。

意外と思われるかもしれないけれど。

彼氏がいなくても充実していた。

可愛いインテリアに囲まれた自分の部屋。

暖かいハーブティーを飲みながら楽しむ読書。

華やかなショップが並ぶファッションビル。

お気に入りのお洋服を見つけ出すショッピング。

それから──
満里奈!
あ、お疲れ~♪
女友達との気兼ねないおしゃべり。
彼、ほんっと、女心が分かってないよねぇ?

そこは「頑張ったね」って、一声掛けてくれればいいのに!

ほんとだねぇ

もう三年も付き合ってるのに~!

恋をしなければ、

怒ったり傷付いたりすることも少なくて。

友達の恋愛トークは、テレビドラマと変わらない娯楽になる。

満里奈は彼氏作らないの?

モテそうなのになー

えー私なんて全然だよ!

職場もアパレルだから、女性しかいないし

ごめんね、

あのね、

彼氏はいらないの。

もうすぐ彼氏と待ち合わせの時間だ

そろそろ行こうかな

うん

また遊ぼうね♪

満里奈はこれからどうするの?
高校の時の友達と会うよ
そうなんだ

満里奈、女子校だったよね

その友達も女の子?

そうだよ
女友達とばっかり遊んでるから、出会いが無いんじゃないのー?
えへへ

(余計な心配だなぁ…)

(まだかな…)
最近よく遊ぶようになった友達がいる。

実は、高校時代には一度も話したことが無かった。

満里奈、待たせたかな
あ、千晴!

ううん、私が早く着きすぎただけ

彼女は千晴。

高校の時、とても人気のあったカッコいい女の子だ。

満里奈、こっち歩きなよ

小柄だから、車道側歩いてると巻き込まれそうで危ない

あ、ありがとう…
見た目は凛々しくてスタイルの良い美人。

そして性格も男前で、私を優しくエスコートしてくれる。

まるで…

(王子様みたい)
恋愛に興味が無い?
そうなの

彼氏への憧れが無くて

私って変なのかな

変じゃないよ

ひとりでも寂しくないなんて、素敵だ

千晴は彼氏いるの?
え!

…いや、いないけど

千晴もひとりが好き?
そんなこと無い

私は、ひとりが寂しい

(意外だな、千晴がそんなこと言うなんて)
電車なくなる前に帰ろっか
うん

…満里奈

なぁに?
私は、ひとりが寂しいんだ

だから、これからも満里奈と一緒にいれたらいいと思ってる

ありがとう、私もだよ
いや、違うんだ

満里奈と私の「一緒にいたい」は、同じ意味じゃない

えっ?
嫌だったら、ごめん

私、満里奈のことが好き

その、恋人とか、そういう意味で

??
あっ、混乱させた!

えーと、私、女性が好きな人で、だから…

あっ!?
…うん…
告白をされたのは初めてで。

女性からなんて余計に初めてで。

だけど。
………
(千晴、顔真っ赤…)
(可愛い、かも、しれない…)
(私、この人といたいのかも、しれない…)
恋愛に興味が無かった。

ひとりで充分楽しいと思っていた。

千晴
…うん?
これからも一緒に、いよう?
でも本当は、憧れてた。

素敵な素敵な王子様。

目の前にいるこのカッコいい女の子が、そんな存在になってくれるって、

私は、確信した。

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登場人物紹介

満里奈(まりな)

ショップ店員

お嬢様ファッション

小柄でスリムな体型

女の子らしい性格

千晴に翻弄されている

千晴(ちはる)

営業OL

シンプルなパンツスタイル

長身モデル体型

男の子っぽい性格

満里奈を溺愛している

高峰(たかみね)

アパレルショップ統括マネージャー

満里奈のショップを担当

きれいめシンプルスタイル

長身細身体型

穏やかだけど積極的な性格

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