決戦! カエル魔人ゲロゲーロ(前編)

文字数 1,229文字

ゆーくん、僧侶、ちょっと疲れちゃったみたい。あと、お腹も空いちゃった。
朝からずっと歩きっぱなしだったからな。そろそろ一休みしてもいいんじゃないか?
そうですね。どこかキャンプできるところを探しましょう。
そろそろ魔族の領域ですからな。注意するに越したことはござらん。
ガサガサッ
わ! モンスターか!?
ケロケーロ、ケロケーロ。
なんだ、カエルか……って、デカッ! つか、立ち上がったぞ!
こっちに近づいてきてるけど……。
僧侶さんと魔術師さんは下がって! 僕と戦士さんで食い止めよう!!
ケロケーロ、ケロロケロケロ。

そういえば……魔王の配下の四天王には、カエル魔人ゲロゲーロってのがいたはずだ。

もしかしたら、コイツがそうかもしれん。

四天王っていうと、あの鋼鉄魔人ゴリマッチョみたいな!? じゃ、じゃあすごく強いってこと!?
大丈夫、ゆーくんならやれるよ! 殺っちゃえ殺っちゃえ!!

カエルって食べられるらしいし、お鍋の材料にちょうどいいんじゃないかな。

ケロロッ! ケロロッ! ケロケロケロロ、ケロケロロ!
勇者殿、ちょっと待ったでござる!

何か言いたそうでござるよ。えーと、言語翻訳魔法のページは、と……。

これでいいはずでござる。

カエル殿、試しに話してみるといいでござるよ。

えー……コホン。聞こえますか?
うわ、すごい。本当に話せるんだ。
ああ、よかった……!

この姿は私の本当の姿ではありません。

私の名は、アルセリア・ルイーズ・プールドネージュ。

この地方を治める、プールドネージュ家の公女です。

公女様……つまりお姫様みたいなもの?
お姫様じゃ食べられないかあ……残念。
しかし、なんだってお姫さんがカエルなんかになってんだ?
それが……カエル魔人ゲロゲーロの呪いによって、このような醜い姿に変えられてしまったのです。

私だけ隙を見て逃げ出したのですが、屋敷の皆もお父様も、カエルの姿に……。ああ、お父様……!

なるほど、カエル魔人ゲロゲーロの仕業でござったか。
それでその……大変ぶしつけなお願いかとは存じますが、もしよろしければ私達を助けていただけないでしょうか?
うーん、四天王には前にボコボコにされたからなあ……。
ねえ、ゆーくん。この人、お姫様だからって調子に乗ってんじゃないかな?

カエルの頼みなんて聞く必要ないと思う。

何もそこまで言わんでも。
もちろん、ただでとはいいません。それ相応の報酬をお支払いいたします。
ねえ、ゆーくん、助けてあげよ? かわいそうだし放っておけないよ。
アルセリア殿、心配は要りませんぞ。報酬なんて必要ござらん!

拙者どもは困っている者を見捨てたりはいたしませぬ。

そうであろう、皆の衆?

ちょっと、急にどうしちゃったの?
ま、いずれにせよ、ゲロゲーロとはやりあわなくちゃいけないだろうしな。
それもそうかあ。

よし、僕らの力でゲロゲーロのやつをやっつけてやろう!

皆さんのお心遣いに感謝いたしますわ。

お優しい方ばかりで、本当によかった……。

カエル、食べてみたかったなあ……。
後編へ続く
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登場人物紹介

勇者

まだ幼さが残る。

僧侶

お姉さんタイプ。

戦士

脳筋。

魔術師

一人称は拙者。

魔王

魔王の腹心

カエル

カエル

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