魔界のつぼ - 異世界ショートストーリー
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文字数 1,691文字
貴様の力はそんなものか?
失望したぞ、勇者よ。とっとと死ぬがよい!
ちゃんと前を見て戦えって言ってるだろうが。
そうだ、僕は独りじゃない……みんながついていてくれるんだ……!!
身にまとう気の力が……変わった……だと?
この剣を受けてみろ!
先ほどまでとは、まるで別人ではないか……!
そして、旅の途中で出会った友人たち、僕を信じて待っていてくれる人たちがいる!
こんなところで、負けるわけにはいかないんだ!!
バ、バカな……!
ウォォォォォォォォ!!
ゆーくん、言ってくれたよね?
僧侶のこと、好きだって。ねえ、言ってくれたよね?
僕は僧侶さんのことは好きだし、その気持ちに偽りはないよ。
ゆーくんにとって特別な存在になれたんだって。
なのに……なのに、なんであんなこと言うの?
さっき、聞こえちゃったもん。ゆーくん、はっきりと言ってた。愛する人『たち』って!
でも、他の人も大切というか……。
その、それとこれとは別の意味で……。
ゆーくんってさ、優しいよね。
ゆーくんは自分が嫌われたくないだけじゃないの?
僧侶は……ゆーくんが愛してくれれば、それでいいのに……。
今、ゆーくんに優しくされたら……もっと酷いこと言っちゃうと思う。
ゆーくんの優しさって、時々すごく残酷だよ……。
ゆーくんには世界を救うっていう大切な使命があるのに……。
がっかりさせちゃったよね、ゆーくん。
ゆーくんのこと大好きなのに傷つけちゃう……。
今の僧侶じゃ、ゆーくんにとって負担にしかならないのかも……。
僧侶は、僕にとって世界で一番大切な人だ。
僕が愛してるのは、僧侶だけだよ。
本当に、信じてもいいの?
これからはもう、僧侶を悲しませることはしない。
僧侶に比べたら、他のやつらなんてゴミさ。
呼吸をする生ゴミだよ。
女の子って、言葉にしてくれないと安心できないから……。
いいかい、僧侶。僕を信じて。
僕は、世界中でただ一人愛する僧侶と、呼吸をする生ゴミ達のために、お前を倒す!!
魔王殿、お頼み申し上げる。
我らは世界のために、貴様を倒す!!
おしまい
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