虫を追う
文字数 455文字
よっはっほ……。
にゃんぱちくんが庭でバッタを追いかけています。
もう１０分もやってんじゃない、諦めたら？
見栄を捨てたら男は名乗れねえんだよ！
とーっ！
あ、ちくしょう、また逃げられた。
やれやれ……。
なにしてるの？
あそこにぴょんぴょん跳ねてる
バッタを捕まえたいんだって。
じゃー、私手伝ってあげる。
よっほっ……。
うんにゃらかんにゃら……。
はーっ！
ギャーッ！
ピロちゃんが呪文を唱えると、
空中から巨大なカゴが降ってきて
にゃんぱちくんを閉じ込めてしまいました。
あれ？
大きすぎたみたい。
出してくれえ～。
やれやれ……。
京子さんがズンバコバンとカゴをぶん殴り、
カゴは粉々にくだけました。
ふー、助かったー。
ごめんね、にゃんぱちちゃん。
いいってことよ……あれ、バッタは？
と、言ったにゃんぱちくんの頭の上に
１匹のバッタが止まっていました。
そしてシーシーとおしっこを引っ掛け、
どこかに飛び去っていきます。
ムギャオーっ！
……つかない日ってのはあるもんよ。
こうしてにゃんぱちくんの１日は
バッタへの敗北感と共に終わっていくのでした。
おかわいそう。
