1 7年後
文字数 847文字
「人工知能と人類の共生委員会」との闘いが幕を下りてから7年後、早坂徹は大学の教授となり、AIロボットの医学への応用について、生徒に教えていた。授業が終わりに近づくと、時間が気になり、ちらちらと時計を見てしまう。
今日は、早坂にとって運命の日だった。7年前に、脳内データの移植手術を行った友人の手術が成功したと、病院から聞いていたのである。授業が終わると、一目散に車で病院へ向かった。
「蒼井 奏 様」
そう名前が書かれたプレートが掲げられた病室に入ると、そこには、蒼井の姿があった。といっても、早坂は、7年前から毎日、この病院へ通っていた。いつも、「手術が成功した」と言われては飛んできて、落胆して帰る日々の繰り返しだった。今日こそは、と期待して、病室に入っていった。
「蒼井。今日も来たよ。」
花束と、蒼井が好きなケーキを枕元に置き、早坂は蒼井の寝顔を見つめた。
7年前の出来事をゆっくりと思い出す。あの頃は、早坂も、今は警察署長となった坂木も、こっちの世界へ引っ越してきて、今は児童養護施設の館長をやっているロイも、まだ子供だった。早坂の父親は、AIENSの学長を務めるとともに、常に世界的に有名な芸術家であり続けた。浅川教授は、今頃、フランスに妻と旅行をしていることだろう。
「もう七年か…。みんな、変わったよな。だけど、きっと全然変わってないんだろうな。」
早坂は、改めて蒼井の寝顔を見た。蒼井の顔を見ていると、まるで、時が止まったような感覚がするのだった。
「蒼井にも、早くみんなの姿を見せたいよ。目を覚ましてくれないかな。」
蒼井は、まだ眠り続けていた。それから、一時間、静かに横に座っていた。
「もうちょっと、時間が必要なんだよな。わかってるよ。」
早坂は、そういって立ち上がった。
「じゃあ、また明日もくるからね。」
そう言って、病室をでようとした時だった。
「ここに、いて。もうずっと、離れないで。」
「蒼井…!」
目を開けた蒼井は、目に笑顔を浮かべていた。
早坂は、蒼井に駆け寄って、その体をきつく抱きしめた。
今日は、早坂にとって運命の日だった。7年前に、脳内データの移植手術を行った友人の手術が成功したと、病院から聞いていたのである。授業が終わると、一目散に車で病院へ向かった。
「蒼井 奏 様」
そう名前が書かれたプレートが掲げられた病室に入ると、そこには、蒼井の姿があった。といっても、早坂は、7年前から毎日、この病院へ通っていた。いつも、「手術が成功した」と言われては飛んできて、落胆して帰る日々の繰り返しだった。今日こそは、と期待して、病室に入っていった。
「蒼井。今日も来たよ。」
花束と、蒼井が好きなケーキを枕元に置き、早坂は蒼井の寝顔を見つめた。
7年前の出来事をゆっくりと思い出す。あの頃は、早坂も、今は警察署長となった坂木も、こっちの世界へ引っ越してきて、今は児童養護施設の館長をやっているロイも、まだ子供だった。早坂の父親は、AIENSの学長を務めるとともに、常に世界的に有名な芸術家であり続けた。浅川教授は、今頃、フランスに妻と旅行をしていることだろう。
「もう七年か…。みんな、変わったよな。だけど、きっと全然変わってないんだろうな。」
早坂は、改めて蒼井の寝顔を見た。蒼井の顔を見ていると、まるで、時が止まったような感覚がするのだった。
「蒼井にも、早くみんなの姿を見せたいよ。目を覚ましてくれないかな。」
蒼井は、まだ眠り続けていた。それから、一時間、静かに横に座っていた。
「もうちょっと、時間が必要なんだよな。わかってるよ。」
早坂は、そういって立ち上がった。
「じゃあ、また明日もくるからね。」
そう言って、病室をでようとした時だった。
「ここに、いて。もうずっと、離れないで。」
「蒼井…!」
目を開けた蒼井は、目に笑顔を浮かべていた。
早坂は、蒼井に駆け寄って、その体をきつく抱きしめた。