第1話
文字数 456文字
ベトナム、ホーチミン市。
グエンは苛立っていた。約束の時間の十分前には来ていて、もう三時間が過ぎようとしている。日本人は約束した時間には必ず間に合うように来る、遅れる事は無い。もしどうしても遅れる時は、連絡をくれると、グエンにその日本人を紹介した男は言った。
「何が日本人は時間に正確だ。リャンも日本人も皆大噓つきだ」
グエンは独り言を言いながら、その場を離れた。一時間近く待ったんだからもう良いだろう。グエンは徒労に終わった今日一日を振り返った。そして、日本人を紹介したリャンに電話をし、日本人が遅刻どころか約束をすっぽかしたと文句を言ってやろうと思った。電話が繋がったら、即座に文句を言ってやろうと身構えていた。十回以上呼び出しのコールが鳴ったが、リャンは出なかった。おかしいなあ。女としけこんでいるのか?それならこっちの電話に出なくても話は分かる。愚痴を溢す相手が出てくれないのでは、自分の今のこの気持ちをどう洗い流してくれるのか分からない。このままでは、可愛い女房のタムに八つ当たりしてしまいそうだった。
グエンは苛立っていた。約束の時間の十分前には来ていて、もう三時間が過ぎようとしている。日本人は約束した時間には必ず間に合うように来る、遅れる事は無い。もしどうしても遅れる時は、連絡をくれると、グエンにその日本人を紹介した男は言った。
「何が日本人は時間に正確だ。リャンも日本人も皆大噓つきだ」
グエンは独り言を言いながら、その場を離れた。一時間近く待ったんだからもう良いだろう。グエンは徒労に終わった今日一日を振り返った。そして、日本人を紹介したリャンに電話をし、日本人が遅刻どころか約束をすっぽかしたと文句を言ってやろうと思った。電話が繋がったら、即座に文句を言ってやろうと身構えていた。十回以上呼び出しのコールが鳴ったが、リャンは出なかった。おかしいなあ。女としけこんでいるのか?それならこっちの電話に出なくても話は分かる。愚痴を溢す相手が出てくれないのでは、自分の今のこの気持ちをどう洗い流してくれるのか分からない。このままでは、可愛い女房のタムに八つ当たりしてしまいそうだった。