第2話 『荊』と共に
文字数 1,680文字
ドルン「死ねぇっ!」
ロッキー「…!」
不意打ちから激しい鍔迫り合いが始まる。
ロッキー「てっめ…」
ドルン「ちいっ…!」
すぐに詰めてくる。
ロッキー(こんな人里のど真ん中でやり合ってやれるか…!)
ドルン「なっ!逃げんじゃねぇ!」
ロッキー(よしよし…追ってきたな?)
人里の地形を知ってるのはこっちだ。
路地を右に、左に。
しかし、そう上手くは行かないものだ。
ロッキー「うっ…!」
荊 の壁が行く手を塞ぐ。
ドルン「逃げられると思うなよ!」
ロッキー「俺とやり合おうってか?」
ドルン「もちろんだ」
ロッキー「ほう。殺してみろよ」
ドルン「言ってくれる。なら望み通り…!」
振り下ろされる刃。
真正面から受ける。
ドルン「…お前、どういうつもりだ?」
ロッキー「こうするのさ。」
銃を引き抜き、撃つ。
ドルン「なあっ─」
赤い飛沫。
ドルン「…ふざけやがって」
ロッキー「卑怯なんて言うなよ。お前もやった事だ」
ドルン「…ま、そうだな」
前かがみの姿勢から、ロッキーの顔に向かって足を振り上げる。
ロッキー「ぶっ!?」
─完璧だ。
ロッキー「…っち…頭に来る…」
いてて…口を切ったか…?
ああ…やっぱりな。
ドルン「喰らえ!」
しまっ─
ロッキー「ぐっ!」
奴の長剣…
そこそこリーチもあるし…
取り回しが良さそうな感じだな…
…威力が弱いのが唯一の救いか。
ロッキー「…目が覚めたぜ。こっから先は俺も容赦しねぇ」
ドルン「掛かってこい!」
右手の短剣を振る。
短剣、と言っても俺の足くらいまでの長さしてるが。
そのまま左手の銃で追い討ちを掛ける。
ドルン「うお…」
─そこだ。
蹴る。
ドルン「おっぐ…っ!」
俺の勝ち──
ロッキー「あ?」
セイ「─っ!!」
その時、誰かに突き飛ばされた。
「転移!」
ロッキー「お前…レグルスか…」
レグルス「申し訳ありません。ロッキーさん。今、白玉楼が大変な事になっていましてね」
ロッキー「大変な…?うおっ!?」
頭の上を銃弾が掠める。
レグルス「影です。もっとも、影鴉とは敵対してるみたいですが」
ロッキー「影鴉は…?」
レグルス「影の軍勢が来た途端に撤退していきましたよ…全く、押し付けとは酷いものです」
ロッキー「オイ待て。ファイナルはどこ行きやがった」
レグルス「ああ、ファイナル様なら─」
突如、外からとんでもない音が聞こえてくる。
レグルス「お、来ましたか」
ロッキー「オォイ!お前何てもんを…持ってき、て……!」
ファイナル「懐かしいでしょう?ロッキーさん。」
ロッキー「そ、それ…RAINか?」
ファイナル「ご名答。たった今ゴミになりましたが」
銃身が焼き切れ、内部からの放熱が見て取れる。モードチェンジ時に使用する刀身は熱でねじ曲がっていた。
ファイナル「あちち…」
投げ捨てる。
ロッキー「どこに保管してたんだよ…?」
ファイナル「俺が隠し持ってました。ただ、もう十分働いてくれましたし、最後に華を持たせてあげたんです。どこかの誰かさんのせいでコアが溶けてましたしね」
ロッキー「それは……俺のせいだな。すまん」
ファイナル「いいんですよ。」
RAINの残骸を拾い上げる。
ファイナル「最後の仕事も立派にやり遂げてくれましたしね」
ロッキー「あの音…出力どのくらいだ」
ファイナル「限界値までですが?」
ロッキー「おま…RAINの許容出力は400%だろ?限界値は何%だ?」
ファイナル「790。約800%ですね」
レグルス「結果はこの通り、ですか。」
影はすっかり消え去った。
これがRAINの最期の仕事。
ファイナル「処分は俺がやりますよ。」
─竜の国、元ハンターの村─
今では、鳥人達が住む村。
ゼン「今日も疲れましたね…ミレイユ」
ミレイユ「うん…疲れたよ」
ゼン「ゆっくり休んでくださいね」
突然、ドアが開く。
ゼン「ぐ…?!」
ミレイユ「っ─」
視界が暗くなっていく─
体の感覚が─
消えてゆく──
朝
鳥人「ゼン様〜?ゼンさ─?」
惨劇。
鳥人「だっ誰かぁーっ!!ゼン様がぁーっ!!」
その声を聞きつけ、何人かの鳥人が駆けつける。
「ゼン様!ゼン様ぁ!」
「…ダメだ…ミレイユ様も…」
皆が嘆く。
誰も、見ていなかった。
2人の死。
誰もが嘆く、死であった。
to be continued……
ロッキー「…!」
不意打ちから激しい鍔迫り合いが始まる。
ロッキー「てっめ…」
ドルン「ちいっ…!」
すぐに詰めてくる。
ロッキー(こんな人里のど真ん中でやり合ってやれるか…!)
ドルン「なっ!逃げんじゃねぇ!」
ロッキー(よしよし…追ってきたな?)
人里の地形を知ってるのはこっちだ。
路地を右に、左に。
しかし、そう上手くは行かないものだ。
ロッキー「うっ…!」
ドルン「逃げられると思うなよ!」
ロッキー「俺とやり合おうってか?」
ドルン「もちろんだ」
ロッキー「ほう。殺してみろよ」
ドルン「言ってくれる。なら望み通り…!」
振り下ろされる刃。
真正面から受ける。
ドルン「…お前、どういうつもりだ?」
ロッキー「こうするのさ。」
銃を引き抜き、撃つ。
ドルン「なあっ─」
赤い飛沫。
ドルン「…ふざけやがって」
ロッキー「卑怯なんて言うなよ。お前もやった事だ」
ドルン「…ま、そうだな」
前かがみの姿勢から、ロッキーの顔に向かって足を振り上げる。
ロッキー「ぶっ!?」
─完璧だ。
ロッキー「…っち…頭に来る…」
いてて…口を切ったか…?
ああ…やっぱりな。
ドルン「喰らえ!」
しまっ─
ロッキー「ぐっ!」
奴の長剣…
そこそこリーチもあるし…
取り回しが良さそうな感じだな…
…威力が弱いのが唯一の救いか。
ロッキー「…目が覚めたぜ。こっから先は俺も容赦しねぇ」
ドルン「掛かってこい!」
右手の短剣を振る。
短剣、と言っても俺の足くらいまでの長さしてるが。
そのまま左手の銃で追い討ちを掛ける。
ドルン「うお…」
─そこだ。
蹴る。
ドルン「おっぐ…っ!」
俺の勝ち──
ロッキー「あ?」
セイ「─っ!!」
その時、誰かに突き飛ばされた。
「転移!」
ロッキー「お前…レグルスか…」
レグルス「申し訳ありません。ロッキーさん。今、白玉楼が大変な事になっていましてね」
ロッキー「大変な…?うおっ!?」
頭の上を銃弾が掠める。
レグルス「影です。もっとも、影鴉とは敵対してるみたいですが」
ロッキー「影鴉は…?」
レグルス「影の軍勢が来た途端に撤退していきましたよ…全く、押し付けとは酷いものです」
ロッキー「オイ待て。ファイナルはどこ行きやがった」
レグルス「ああ、ファイナル様なら─」
突如、外からとんでもない音が聞こえてくる。
レグルス「お、来ましたか」
ロッキー「オォイ!お前何てもんを…持ってき、て……!」
ファイナル「懐かしいでしょう?ロッキーさん。」
ロッキー「そ、それ…RAINか?」
ファイナル「ご名答。たった今ゴミになりましたが」
銃身が焼き切れ、内部からの放熱が見て取れる。モードチェンジ時に使用する刀身は熱でねじ曲がっていた。
ファイナル「あちち…」
投げ捨てる。
ロッキー「どこに保管してたんだよ…?」
ファイナル「俺が隠し持ってました。ただ、もう十分働いてくれましたし、最後に華を持たせてあげたんです。どこかの誰かさんのせいでコアが溶けてましたしね」
ロッキー「それは……俺のせいだな。すまん」
ファイナル「いいんですよ。」
RAINの残骸を拾い上げる。
ファイナル「最後の仕事も立派にやり遂げてくれましたしね」
ロッキー「あの音…出力どのくらいだ」
ファイナル「限界値までですが?」
ロッキー「おま…RAINの許容出力は400%だろ?限界値は何%だ?」
ファイナル「790。約800%ですね」
レグルス「結果はこの通り、ですか。」
影はすっかり消え去った。
これがRAINの最期の仕事。
ファイナル「処分は俺がやりますよ。」
─竜の国、元ハンターの村─
今では、鳥人達が住む村。
ゼン「今日も疲れましたね…ミレイユ」
ミレイユ「うん…疲れたよ」
ゼン「ゆっくり休んでくださいね」
突然、ドアが開く。
ゼン「ぐ…?!」
ミレイユ「っ─」
視界が暗くなっていく─
体の感覚が─
消えてゆく──
朝
鳥人「ゼン様〜?ゼンさ─?」
惨劇。
鳥人「だっ誰かぁーっ!!ゼン様がぁーっ!!」
その声を聞きつけ、何人かの鳥人が駆けつける。
「ゼン様!ゼン様ぁ!」
「…ダメだ…ミレイユ様も…」
皆が嘆く。
誰も、見ていなかった。
2人の死。
誰もが嘆く、死であった。
to be continued……