少女の日記 二

文字数 375文字

 ○月○日

 今でも信じられない。まさかかいぶつさんが薬草をあつめてくれてたなんて!
 見た目はすっごくこわいけど、きっととってもやさしい心の持ち主なのだわ。
 うれしくなって、つい抱きついちゃったけど、かいぶつさんもいやな顔をしなかったから大丈夫よね、きっと。

 でも、かいぶつさんに名前がないってわかったとき、すごく悲しくなっちゃった。だって、名前をつけてくれる親がいないんだもの。
 きっと、ずっと一人で生きてきて、さみしかったのだわ。
 わたしは生まれた時から耳が聞こえないから、村のみんなの言っていること、わからなかったもの。みんなわたしと関わらなくなって、寂しかった。
 お母さんが居てくれなかったら、どうなっていたことか。
 
 わたし、しゃべるのは苦手だからかいぶつさんも困った様な顔をしていたわね。
 何とかかいぶつさんとお話しできる方法はあるかしら。
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