文字数 295文字

ある風の強い日、男の子がやってきました。
大きな木はいつも通り迎えます。
「こんにちは」
「…こんにちは」
うつむき加減に答える男の子は、何だか元気が無い様子。
「どうしたの?」
「友達と喧嘩しちゃって」
男の子の顔には傷がありました。
「どうして喧嘩になったの?」
「いつも同じ服を着ているって、からかわれたんだ」
「そうだったの、嫌なことを言われてしまったのね。辛かったでしょう」
男の子は小さく「うん」と答え、そのまま黙ってしましました。
大きな木は自分に体を預ける男の子をそっと支えました。
少しして「お友達に謝ってくる」と男の子が前を向きました。
「いってらっしゃい」
駆け出す男の子を大きな木は見送りました。
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