第3話 わたしらしさ
文字数 4,206文字
ここは、とある商店街にひっそりと佇む小さな花屋。天気のいい日でも、その店内は薄暗く妖しげ。それでいて、ふんだんに魅惑の香りを漂わせる。営業日が店主の気まぐれで決まるその場所は、望む者の前にだけ姿を現す秘密の花園。
***
いつもの時間に起きて、いつものように支度して、いつも同じ時間に家を出る。毎日が、昨日と同じ。違和感はあるけど、義務感で体が勝手に動いていた。見慣れた風景に包まれながら電車に揺られ、通い慣れた通勤路を歩む。だけど、途中で足が止まった。
私の横をどんどん人が通り過ぎていく。胸を張って歩くスーツ姿の人、ヒールの音がさながら行進曲のような人、カップコーヒーを片手に小走りする人。皆一様に、目的地へと邁進していく。その背中には、確固たる意志が宿っているように見えた。
私の目的は、私の意志は、どこへ行った?
足が全然前に進まない。かわりに溜息がこぼれ、めまいがする。ちょうどそこは商店街、すぐそばのお店のショーウィンドウに背をあずけて少し休むことにした。まだ朝の8時半。ドアには「CLOSED」の看板が吊るされていた。外観は黒一色に統一され、ショーウィンドウも黒いカーテンが引かれて中が見えない小さいお店だった。何屋かどうかはどうでもいい。何もかも、どうでもいい。
目を閉じて、ただ息をする。あれこれ考えすぎて、何も考えられなくなっていた。
「あら、大丈夫?」
誰かの声がした。こちらに向けられたものではないと思い無視したが、腕に触れられた感触で飛び起きる。黒いエプロンを着けたお店の人らしき人物がこちらの様子を伺っていた。
「すっすみません、お邪魔しました」
とっさに謝罪して立ち去ろうとするものの、お店の人が行く手を遮り私に言った。
「少し休んでいきなさい。顔色良くないわよ」
もちろん断ろうとしたけど、相手は私の腰元に手を添えて、有無を言わさずに店内へと押し込んだ。線の細い方で、フェミニンで柔和な雰囲気をまとっているけれど、そのチカラと声質からして男性のように思われた。チラチラと上目遣いに観察しているところで視線が交差する。柔らかく微笑むその表情に、わずかに安心感を抱いている自分がいた。
甘い香りと大量の花々に包まれた内観から推測するに、ここは花屋のようだった。並んで通路を進み、突き当りには黒いカウンター。そこには丸みのあるスツールがひとつ置かれていた。その一角だけ、バーみたいな雰囲気がある。
「座って待ってて」
彼(と呼んでいいと思う)はそう言い残して、バックヤードへと入っていった。わけがわからない。会社も遅刻か無断欠勤になるけど、とりあえず全部どうでもいい。通路を引き返すこともせず、おとなしくスツールに腰掛けた。
間も無く彼が戻り、緑茶を振舞ってくれた。
「体が温まれば、きっと気分も良くなるわ」
「そうですね。これいただいたら、すぐ出ていきますから。すみません」
「ふうん。そんな悲壮感に満ちた顔でどこに行けるっていうのかしら。このまま星の彼方を目指されても困るから、話聞かせなさいよ」
彼は真面目な顔でそう言った。「星の彼方」なんて、見かけによらずロマンチックな人かもしれない。ちょっとだけ、話す気になった。
「あの、私……自分が何をしているのか、わからなくなっちゃって」
「あらあら。よかったら、もう少し詳しく教えてくれる?」
「その、家を出た時は会社に行くつもりだったんです。でもなぜか、途中で行く理由がわからなくなって。だけど会社員なら、いや大人なら、迷わないはずなんです。明確な目的や意志と共に仕事して然るべきなんです。なのに、私はそれを持ち合わせず、惰性でやっていたみたいで。だからもう、何のために働くのか、何が欲しくて日々を生きているのか、よくわからなくなりました」
「その若さでだいぶ深刻に考えてるのね」
「もう25です」
「まだ、25よ。あなた、30歳で天に昇るつもりなの?」
「いや、どうでしょう。何歳でもいいです」
「ダメよ。命に対して、どうでもいい、何でもいいは禁句。あなた自身がかわいそうじゃない」
自分がかわいそうなんて思ったことはない。どちらかと言えば、「哀れ」の方が似合う気がする。
「ねえ。お仕事って、お金を稼ぐためじゃないの?」
「そうですけど、自立した大人として当然の行為ではないですか。主要な働く理由にはならないと思います」
「じゃあなぜ、さっき言ってた“目的や意志”が必要だと思うの?」
「それは……みんながそうしてるから、ですかね」
「あなたの言う、みんなって誰なの?」
私は答えに困った。みんなは、みんなだからだ。
「なるほどね。なら今の状況も頷ける」
「あの、どういうことですか?」
勝手に心理テストをされているようで、くすぐったい心地がする。彼はカウンターに両手をつけて、微笑んだ。
「周りに合わせていた視点が、急に内側に向いて混乱してるだけよ」
「すみません。噛み砕いて説明してもらってもいいです?」
「あら、自分のこと知りたくなってきた?」
「質問に質問を返さないでください」
「フフフ。かたいこと言わず、焦らず聞いてちょうだい。これまでのあなたは恐らく、行動基準を周りに合わせていたのよ。何か選択を迫られたら、世間の一般常識からしたらこれが正解、というものを選んできたのでしょうね。あなたの育った環境の中では、それがベストの処世術だったかもしれない。だけど、大人になったら、社会人になったら環境は変わる。そこには様々な価値観を持った人々が集まり、多種多様な基準が存在して、唯一絶対の正解なんてなくなるの。だからあなたは、周りじゃなく、自分の内側に基準や答えを求めるようになった。違うかしら?」
「どうでしょう。あまり自分を省みることがなくて」
「あらやだ。そこが重要なんじゃない。ならあなたは、自分の意志や願望をどうやって把握してるのよ?」
「願望なんてないです。普通に生きたいだけです」
「じゃあ、その普通って説明できる?」
「普通は……」
「ほらね。自分軸が明確になっていなかったこと、わかるかしら。願望もないわけじゃないはずよ。これまでは問題なかったのだろうけど、自分の内側に視点を合わせたとき、そこが曖昧なことが浮き彫りになったのね」
「つまり、私は普通という自分を目指していると勘違いしたまま、現状維持をし続けて、能天気に時間を貪っていただけなんですね。中身がないまま、何者にもならないままで……」
真面目に生きてさえいれば、いつか望む通りの自分になると、信じていたのに。結局私はどこにも向かえず、立ち止まっていただけだった。
「何言ってるの、現状維持してたらそうやって頭抱えないわよ。現在地と願望への距離感を感じてどうにかしたいって思うから悩むわけでしょう。一時的に立ち止まって深く考えてるんでしょう。それでいいじゃない、自分を省みるチャンスよ。それとね、視点を変えてみたらどう。仮に現状をゼロベースと言うのなら、これからいかようにも作り上げられるってことでしょう。あなたには無限大の可能性があるんだって、そう思わない?」
「でも……」
「でもは禁止。可能性を潰すわよ。それにね、考えることをやめないの。今のあなたにはキツイことを言うようだけど、自分の未来や願望と向き合うことからは絶対に逃げちゃダメだからね。ただし、考えることと、悩むことは別物だから注意すること。適度に、そして前向きに考えるのがコツかしら」
「そう…ですか……」
とても耳が痛い。本当は、頭のどこかでわかってた。自分のことを考えていないわけじゃない、考えたくなかっただけなの。周りに合わせていた自分に、中身がないと気付きたくなかったの。だから、みんなみたいな中身のある普通の人になりたかったの。だけど、本当は、私らしく、なりたかったの。
気づけば、涙が頬をつたっていた。
「ゆっくり向き合ってあげるのよ」
彼はボックスティッシュを私の前に置いて、店内の花々の影へと姿を消す。ひとりになった途端に、涙が止まらなくなった。強制的に、かつ突然自分に向き合うことになって、怖かった。予想はしていたけど、自分は理想像とは程遠くて、悔しかった。だけど、自分にも可能性があるとわかって、嬉しかった。
しばらくして涙も落ち着いてきたころ。彼は薔薇を抱えてカウンター内へ戻ってきた。そして壁面の棚から包装紙を選び、手際良く花束を作り上げた。
「あなた、下のお名前は?」
「美雪 です」
「そう。可愛らしいお名前ね」
そう言って、白いオーガンジーリボンを花束の柄に結んだ。よく見ると、リボンには雪の結晶の柄がついていた。
「どうぞ」
「え、はい……おいくらでしょう」
「やあね、プレゼントよ。美雪ちゃんが、ちゃんと自分と向き合ったご褒美」
「あ、あの、ありがとうございます。このお花、珍しい色ですね」
手元の薔薇は単色ではなく、ペールブルーやベビーピンク、クリームイエローなど淡い色味が混ぜ合わさり、まるで優しい虹だった。
「レインボーローズっていうの。人工的な着色だけど、一度見たら忘れられない唯一無二の美しさがあるでしょう。それと、きっと笑顔が戻るように、特別なおまじないかけておいたから」
「ありがとうございます」
この人には、“ありがとう”を100回言っても足りないくらいだ。どう感謝を伝えようか考えていると、「それとね」と彼が言葉を続ける。
「もうわかってると思うけど、私が言ったことはあくまで個人的な意見だから、必要と思ったところだけ参考になさい。どう受け止め、どう進むかは、あなたの意志で決めるのよ。“美雪”を生きるためにね」
「はいっ!」
最後にもう一度、心を込めて感謝を伝え、深くお礼をしてから別れを告げた。
未来も、夢も、自信も、自分には縁遠い言葉だと思ってた。だけど、今日からの私は違う。私らしく、自由に、無限の可能性を信じていくの。
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レインボーローズ
(科・属)薔薇科・薔薇属
(花言葉)無限の可能性
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いつもの時間に起きて、いつものように支度して、いつも同じ時間に家を出る。毎日が、昨日と同じ。違和感はあるけど、義務感で体が勝手に動いていた。見慣れた風景に包まれながら電車に揺られ、通い慣れた通勤路を歩む。だけど、途中で足が止まった。
私の横をどんどん人が通り過ぎていく。胸を張って歩くスーツ姿の人、ヒールの音がさながら行進曲のような人、カップコーヒーを片手に小走りする人。皆一様に、目的地へと邁進していく。その背中には、確固たる意志が宿っているように見えた。
私の目的は、私の意志は、どこへ行った?
足が全然前に進まない。かわりに溜息がこぼれ、めまいがする。ちょうどそこは商店街、すぐそばのお店のショーウィンドウに背をあずけて少し休むことにした。まだ朝の8時半。ドアには「CLOSED」の看板が吊るされていた。外観は黒一色に統一され、ショーウィンドウも黒いカーテンが引かれて中が見えない小さいお店だった。何屋かどうかはどうでもいい。何もかも、どうでもいい。
目を閉じて、ただ息をする。あれこれ考えすぎて、何も考えられなくなっていた。
「あら、大丈夫?」
誰かの声がした。こちらに向けられたものではないと思い無視したが、腕に触れられた感触で飛び起きる。黒いエプロンを着けたお店の人らしき人物がこちらの様子を伺っていた。
「すっすみません、お邪魔しました」
とっさに謝罪して立ち去ろうとするものの、お店の人が行く手を遮り私に言った。
「少し休んでいきなさい。顔色良くないわよ」
もちろん断ろうとしたけど、相手は私の腰元に手を添えて、有無を言わさずに店内へと押し込んだ。線の細い方で、フェミニンで柔和な雰囲気をまとっているけれど、そのチカラと声質からして男性のように思われた。チラチラと上目遣いに観察しているところで視線が交差する。柔らかく微笑むその表情に、わずかに安心感を抱いている自分がいた。
甘い香りと大量の花々に包まれた内観から推測するに、ここは花屋のようだった。並んで通路を進み、突き当りには黒いカウンター。そこには丸みのあるスツールがひとつ置かれていた。その一角だけ、バーみたいな雰囲気がある。
「座って待ってて」
彼(と呼んでいいと思う)はそう言い残して、バックヤードへと入っていった。わけがわからない。会社も遅刻か無断欠勤になるけど、とりあえず全部どうでもいい。通路を引き返すこともせず、おとなしくスツールに腰掛けた。
間も無く彼が戻り、緑茶を振舞ってくれた。
「体が温まれば、きっと気分も良くなるわ」
「そうですね。これいただいたら、すぐ出ていきますから。すみません」
「ふうん。そんな悲壮感に満ちた顔でどこに行けるっていうのかしら。このまま星の彼方を目指されても困るから、話聞かせなさいよ」
彼は真面目な顔でそう言った。「星の彼方」なんて、見かけによらずロマンチックな人かもしれない。ちょっとだけ、話す気になった。
「あの、私……自分が何をしているのか、わからなくなっちゃって」
「あらあら。よかったら、もう少し詳しく教えてくれる?」
「その、家を出た時は会社に行くつもりだったんです。でもなぜか、途中で行く理由がわからなくなって。だけど会社員なら、いや大人なら、迷わないはずなんです。明確な目的や意志と共に仕事して然るべきなんです。なのに、私はそれを持ち合わせず、惰性でやっていたみたいで。だからもう、何のために働くのか、何が欲しくて日々を生きているのか、よくわからなくなりました」
「その若さでだいぶ深刻に考えてるのね」
「もう25です」
「まだ、25よ。あなた、30歳で天に昇るつもりなの?」
「いや、どうでしょう。何歳でもいいです」
「ダメよ。命に対して、どうでもいい、何でもいいは禁句。あなた自身がかわいそうじゃない」
自分がかわいそうなんて思ったことはない。どちらかと言えば、「哀れ」の方が似合う気がする。
「ねえ。お仕事って、お金を稼ぐためじゃないの?」
「そうですけど、自立した大人として当然の行為ではないですか。主要な働く理由にはならないと思います」
「じゃあなぜ、さっき言ってた“目的や意志”が必要だと思うの?」
「それは……みんながそうしてるから、ですかね」
「あなたの言う、みんなって誰なの?」
私は答えに困った。みんなは、みんなだからだ。
「なるほどね。なら今の状況も頷ける」
「あの、どういうことですか?」
勝手に心理テストをされているようで、くすぐったい心地がする。彼はカウンターに両手をつけて、微笑んだ。
「周りに合わせていた視点が、急に内側に向いて混乱してるだけよ」
「すみません。噛み砕いて説明してもらってもいいです?」
「あら、自分のこと知りたくなってきた?」
「質問に質問を返さないでください」
「フフフ。かたいこと言わず、焦らず聞いてちょうだい。これまでのあなたは恐らく、行動基準を周りに合わせていたのよ。何か選択を迫られたら、世間の一般常識からしたらこれが正解、というものを選んできたのでしょうね。あなたの育った環境の中では、それがベストの処世術だったかもしれない。だけど、大人になったら、社会人になったら環境は変わる。そこには様々な価値観を持った人々が集まり、多種多様な基準が存在して、唯一絶対の正解なんてなくなるの。だからあなたは、周りじゃなく、自分の内側に基準や答えを求めるようになった。違うかしら?」
「どうでしょう。あまり自分を省みることがなくて」
「あらやだ。そこが重要なんじゃない。ならあなたは、自分の意志や願望をどうやって把握してるのよ?」
「願望なんてないです。普通に生きたいだけです」
「じゃあ、その普通って説明できる?」
「普通は……」
「ほらね。自分軸が明確になっていなかったこと、わかるかしら。願望もないわけじゃないはずよ。これまでは問題なかったのだろうけど、自分の内側に視点を合わせたとき、そこが曖昧なことが浮き彫りになったのね」
「つまり、私は普通という自分を目指していると勘違いしたまま、現状維持をし続けて、能天気に時間を貪っていただけなんですね。中身がないまま、何者にもならないままで……」
真面目に生きてさえいれば、いつか望む通りの自分になると、信じていたのに。結局私はどこにも向かえず、立ち止まっていただけだった。
「何言ってるの、現状維持してたらそうやって頭抱えないわよ。現在地と願望への距離感を感じてどうにかしたいって思うから悩むわけでしょう。一時的に立ち止まって深く考えてるんでしょう。それでいいじゃない、自分を省みるチャンスよ。それとね、視点を変えてみたらどう。仮に現状をゼロベースと言うのなら、これからいかようにも作り上げられるってことでしょう。あなたには無限大の可能性があるんだって、そう思わない?」
「でも……」
「でもは禁止。可能性を潰すわよ。それにね、考えることをやめないの。今のあなたにはキツイことを言うようだけど、自分の未来や願望と向き合うことからは絶対に逃げちゃダメだからね。ただし、考えることと、悩むことは別物だから注意すること。適度に、そして前向きに考えるのがコツかしら」
「そう…ですか……」
とても耳が痛い。本当は、頭のどこかでわかってた。自分のことを考えていないわけじゃない、考えたくなかっただけなの。周りに合わせていた自分に、中身がないと気付きたくなかったの。だから、みんなみたいな中身のある普通の人になりたかったの。だけど、本当は、私らしく、なりたかったの。
気づけば、涙が頬をつたっていた。
「ゆっくり向き合ってあげるのよ」
彼はボックスティッシュを私の前に置いて、店内の花々の影へと姿を消す。ひとりになった途端に、涙が止まらなくなった。強制的に、かつ突然自分に向き合うことになって、怖かった。予想はしていたけど、自分は理想像とは程遠くて、悔しかった。だけど、自分にも可能性があるとわかって、嬉しかった。
しばらくして涙も落ち着いてきたころ。彼は薔薇を抱えてカウンター内へ戻ってきた。そして壁面の棚から包装紙を選び、手際良く花束を作り上げた。
「あなた、下のお名前は?」
「
「そう。可愛らしいお名前ね」
そう言って、白いオーガンジーリボンを花束の柄に結んだ。よく見ると、リボンには雪の結晶の柄がついていた。
「どうぞ」
「え、はい……おいくらでしょう」
「やあね、プレゼントよ。美雪ちゃんが、ちゃんと自分と向き合ったご褒美」
「あ、あの、ありがとうございます。このお花、珍しい色ですね」
手元の薔薇は単色ではなく、ペールブルーやベビーピンク、クリームイエローなど淡い色味が混ぜ合わさり、まるで優しい虹だった。
「レインボーローズっていうの。人工的な着色だけど、一度見たら忘れられない唯一無二の美しさがあるでしょう。それと、きっと笑顔が戻るように、特別なおまじないかけておいたから」
「ありがとうございます」
この人には、“ありがとう”を100回言っても足りないくらいだ。どう感謝を伝えようか考えていると、「それとね」と彼が言葉を続ける。
「もうわかってると思うけど、私が言ったことはあくまで個人的な意見だから、必要と思ったところだけ参考になさい。どう受け止め、どう進むかは、あなたの意志で決めるのよ。“美雪”を生きるためにね」
「はいっ!」
最後にもう一度、心を込めて感謝を伝え、深くお礼をしてから別れを告げた。
未来も、夢も、自信も、自分には縁遠い言葉だと思ってた。だけど、今日からの私は違う。私らしく、自由に、無限の可能性を信じていくの。
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レインボーローズ
(科・属)薔薇科・薔薇属
(花言葉)無限の可能性
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