文字数 1,195文字

「きゃあああっ!」

場面が変わって恐ろしい地下の大きな鉄格子の大部屋。
魔族達は捕らえた人間達に怪しい赤い液体を注射針で人間の体に注入し、実験を繰り返していた。

その実験は魔族の為により良い手駒を増やし戦力になるように命令通りに動く兵隊を作り、魔族の意のままに動く忠実なる者を作ろうとしていた。

だが接種したもののなかなか上手くいかず、適合できず壊れてしまう人間の体達。

ある者は異形の姿になり、姿がうまく保てず壊れ分解してしまう者達。

そしてある者は結晶のようにパリパリと音をたて砕け散ってしまう者達。

成功し上手く生き残れたとしても、人間性を失い人の形を保てず、別の生き物になってしまう恐ろしい魔族が開発した液体だった。

今回は被験体が女性だった。

その女性も魔族に町を焼かれ連れてこられた被害者の一人。

魔族の手にかかり液体を注入され、その液体に適合できずはかなくも壊れてしまった一体の無惨な体。

その無惨で壊れてしまった遺体を見て、ここの収容所の魔族のボス、アルギスはその遺体を見て吐き捨てるように、

「……ちっ!」

と、その結果を見て言い、そしてその壊れた遺体を見て見下すように、

「……所詮、人間のメスはメスだな。

我が魔族達が開発した偉大なる力の液体に器が耐えられず生き残ることさえ出来んとは……

まあいい……

人間など腐るほどこの世にいるしな。

近い将来、あの方の理想の世界の為により良い結果を残さなければ……

さて、部屋に戻り、休むとするか」

と言い、砕け散った遺体を後にしてアルギスは自分の部屋に戻ろうとした。


その時魔族同士で常に連絡を取り合い上に報告しあっているのか、一体の魔族が通信の映像をとおしてホログラム形式でアルギスの前に現れた。

その魔族は小柄で青白い肌をしており、髪は銀髪で各魔族の伝達版の役割をしていた。

アルギスはその魔族の対照的で大柄な姿をしており、どちらかと言うと人型ではなく、鳥の顔をモチーフとした目がちょっとぎょろっとしている魔族だった。

そのアルギスに向かって小柄な魔族は、

「実験はてこずっているようですねアルギス……

やはりなかなか難しいようですね」

と、その魔族はアルギスに言い、その魔族の話を聞いたアルギスは、

「……フッ、まあな。

所詮人間は人間……

魔族の体よりはもろくて寿命も短い。

ここにいる人間達も適合できずたぶん全滅だろう……

明日こいつら人間をそちらに輸送する。

理性がなくとも生存でき魔物化した人間どもの餌になってもらわなくてはな……クックック」

その会話を聞いた牢屋の中にいるミナの妹ラーシャはこの時怯えながらその会話を聞いて、

「私達このまま輸送され餌にされて殺される!

お姉ちゃん、助けて!」

と牢の中でいい、助けがくるのを待っていた。
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