文字数 1,057文字

その後、ミナとコウはアルギスの館で捕らわれていたラーシャや村の人達を牢から解放し、二人はこの時感動の再開でお互い体を抱き合い、涙を流しながら対面した。

ラーシャはミナに向かって、

「お姉ちゃん、怖かったよ!」

と、泣き叫びながらラーシャはミナの体にしがみつき、改めて命が助かったことにこの時二人は心の底から感謝した。

そんなラーシャの姿を見てミナはラーシャに向かって、

「ごめんね、ラーシャ。本当に生きてて良かった。

あの時村から出て隣街に買い出しに行ってた時、突然魔族達が村を攻めたと聞いて……

会えて良かった、本当に良かった。

ごめんね、ごめんね……」

ポロポロポロ……

抱き合いながら涙を流し続ける二人。

そんな二人の姿を見てコウは、

「……良かった」

と、二人の前でひと言そっと言い、そしてこの時もう一度北の方向を見て今は魔族の巣窟と化したクラドの城を見ていた。

いっぽうその頃魔族達はアルギスの館が一人の少年によって攻略されたのを報告を受けて、この時魔族同士で集り緊急会議を開いていた。

そしてその中でコウが赤い液体に適合し、力を得ているとの情報を聞いて一人の邪悪な蛇を巻いた黒のフードを被ったリーダー格の魔族が、正気を失いただひたすらその魔族の胸の血を犬のように舐めてるクラドに向かって、

「良かったな、クラド……。

お前が愛し傷つけ、我々から遠ざけた弟子が生きて活躍したとはな。

さぞ会いたく、弟子の体に触れあいたいだろう……

クックック、楽しみだな、適合者の弟子が……

師匠と弟子……

2体のコレクションが揃うのが楽しみだな……

クックック、ククッ、ハッハッハ!!」

「………………」

その魔族がその場で高笑いしクラドの髪をかき撫で癒していると、クラドは下を向き汗を流しながら、

「…………コウ……、コウ……」

と名前を呼び、そして、

「……逃げろ、……くるなコウ、ここに来てはいけない」

と、息苦しそうな声をだしながらわずかばかりこの時意識を取り戻した。

だが、すぐさま身体中にかけめぐる赤い液体の影響で意識をかき乱され正気を失い、やがてクラドの心ははたまた再度漆黒の闇へと堕ちた。



辺り一面で魔族とクラドの周りで散らばる赤い結晶。

その結晶の大部分は適合できず脆く崩れ去った人間の残骸。

コウとクラド……

そしてこの地にはびこった魔族達の物語。

コウの戦いはまだ、打倒魔族とのクラド奪還へと旅は続くのであった。


END
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