文字数 2,064文字

一方ミナと、謎の和服姿のサムライの格好をした12歳の男の子コウという少年は、その村人がたくさん収容されているアルギスの館に向かい、皆を救出し向かおうとしている最中だった。

ミナは館に一緒に向かって助けに行ってくれるコウに向かって、

「コウ……ほんとに一緒にきて助けてくれるの?

私今、貴方と知り合ったばかりなのに……

いいの?」

それを聞いたコウは館に向かいながらミナに向かって、

「いい!

俺の先生がいつも言ってたんだ。

力は助けを求めてる人に使えって……

だから助けに行くよ」

それを聞いたミナは走りながら驚いた様子でコウに向かって、

「先生?

貴方に師匠がいるの?」

コウは走りながらミナに向かって師の話をし出した。

その師の名前はクラドという者で英国人でかなり腕がたつ者だった。

そしてコウが人間と魔族との戦乱に巻き込まれ親をなくし一人地上でさまよっていた時、コウの師クラドと、そしてそのクラドの師、猿豪がコウに向かって手をさしのべコウを連れ出し主にクラドが育てた。

コウはその時ありとあらゆる生きる術をクラドから学んだ。

そして学び多くの知識を得て実の親子のように二人で旅をしていた。

そして旅の途中でクラドは王に就任する。

旅の行き先の途中でその国の姫に気に入れられそのままクラドは王に就任したのだ。

その時楽しい情景がコウの頭の中で再現テープのように流れる。

王室で平和だった空間。
王妃も交えて楽しい時間をすごしていた。

だが次の瞬間、それは一匹の魔族が城に訪れた瞬間風景がかわった。

それはまるでコウの頭の中で色に例えたら白から黒に一気にかわっていくように……

コウはこの時心の中で一生何かに縛られトラウマを抱えているようだった。

そんな考えを持ちうやむやに心を持っていた最中、二人は館の前に着いてその前に立った。

コウはこの時ミナに向かってそのうやむやな気持ちを律するようにミナの顔を見て、行くぞと言わんばかりに館の中に入り、町の人達を助けに向かおうとしていた。


アルギスの館に入ったコウ達は、捕らえられている街の皆を解放しようと暗い牢屋の中を歩き二人はミナの妹達を探していた。

するとその無数にある牢屋の奥には、ミナの妹ラーシャが怯え、牢の中でうずくまっていた。

その妹の姿を見てかけつける姉のミナ。

ミナは妹のラーシャに向かって、

「もう大丈夫よ、ラーシャ。

落ち着いて、大丈夫だから。

今、あなたを牢から出すから。

……それにしても、貴方、見たところ一人でいるみたいだけど他の皆は一体どこに消えたの?」

ミナはラーシャが入ってる牢から鍵をコウに壊してもらいラーシャは牢から出た。

確かになぜラーシャだけ監禁されていて他の者の姿が見当たらないのかこの時コウもおかしいと思い首をかしげ疑問に思っていた。

コウ達が他の皆はどこに行ったんだとラーシャに言い牢から出てきたラーシャに聞くと、その時いきなり二人の背後からどす黒い声をして二人に声をかけた。

そしてその声の主は機嫌がよさそうでたしなむような声で、

「ほほう、なるほど。この館にネズミが入ったと聞くが、これはこれは粋の良さそうな実験対象のモルモットどもだな、ハハハッ……

お前たちならいい素材になりそうだ」

といきなり顔を見せたのはこの館の主アルギスが現れ、アルギスはいきなりコウ達に向かって魔法で攻撃を仕掛けてきた。


「!!!」

いきなりアルギスに先制攻撃をされ不意をつかれる二人。
その場は魔法によって壊され、辺り一面大きく場に煙がたちこめていた。

アルギスはかろうじて刀で攻撃をしのいだコウの姿を見て、

「ほう、やるな小僧……

私の魔法をしのぎきるなんて……

なかなかいい素材だ。

欲しい、欲しいぞ小僧……

喉から手が出る程に……

大人しく捕まれば痛い思いをしなくてすむぞ、ガキ」

それを聞いたコウは舌ずりしてベロを舐め回しているアルギスに向かって、

「誰がお前なんかに捕まるものか、お前達魔族なんかに……

お前達は俺の……、俺のクラド先生をその赤い液体で先生の体を何かに変えたんだ!

いきなりお前達魔族は先生の城に攻めてきて、俺を人質にとって先生を動けなくして……

身動きできず弱りきった先生の体を掴み、その赤い液体で先生の口に無理矢理流し込んだんだ!」

コウの話を聞いて驚いたアルギスは、なるほどと確信するかのようにコウに向かって、

「……ククク、そうかお前、話にはきいていたがあの時その場にいたあの男の弟子か。

ククク……

いやあ、あの出来事は面白かったよ。

なにせ我々魔族にはじめて薬が適合し優秀な逸材を手に入れた瞬間だからな~。

まあ、はじめからあの男には目をつけていたわけだが……

数々の魔物や魔族を葬り去り、過去我々に脅威を与えていた男クラド・イージス。

こちら側に手に入れて本当に良かったぞ、ガキ!」
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