第4話

文字数 547文字

[好きだと言う度 (9/17)]

広田のすきなところ?
いっぱいあるけど…そうだな、まずは頭がいいこと。勉強のことだけじゃなくて、いろんなこと知ってて、俺が困ってるとき必ず教えてくれる。
あと、肩幅。化学部で白衣着てるときなんか、見とれちゃうくらいかっこいい。
それから、眼鏡。似合ってて知的だし、…これはホントは内緒だけど、ベッドに入って眼鏡を外して、多分よく見えないんだよな、俺の顔をじっと見てるときの表情、ドキドキして二度おいしい。
でも、いちばんすきなのは、俺がすきだって言うたび、ちょっと照れたように視線を落として、小さい声で怒ったように「俺も。」って言う顔。胸の奥がぎゅっと掴まれたみたいに苦しくなって、もっともっと近付きたくて、嬉しくて、切なくて、愛おしくて、思わず抱きついてしまう。
そんなとき広田はいつも、ちょっと身動いで、重たいとか暑苦しいとか言いながらも、俺の背中をぽんぽんってたたいてくれる。
身長も体重も靴のサイズまで同じなのに、何故か広田の方が俺より身体が細くて、俺は広田の腰に腕を回す。いちばん近くにいたくて、広田の耳元にちゅっとキスすると、広田は、
「おまえ、ホント、バカだな。」
って笑いながら、頭をなでてくれた。

…なんてね。誰にも言えないけど、ホントは世界中に言いふらしたい。
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