オーロラの雨
文字数 587文字
お題 オーロラの雨
必須ワード 隠れ家
私だけが見える世界
主人が定年になり、家が狭く感じるようになった。そんな時は思いきって散歩に出かける。
今日のコースは公園? うーん、雨が降りそうだから大通りかな! いざとなったら駆け込める店がたくさんあるのは安心。
大通りに出るとポツポツと音がした。
「やっぱり降ってきた」
言い終わる頃には雨の筋、歩道はみるみる色濃くなっていく。私は慌てて目の前のバス停へと駆け込んだ。時刻表を見るとバスは出たばかり。簡単な屋根とベンチが1つ、実にシンプルなバス停だ。バスはしばらく来ないし、しばらく休ませてもらおう。
ベンチに座ると視界の下からピカピカと光が現れ始めた。
あ、始まった……
これが始まると30分は動けない。今回はこのバス停を隠れ家にしよう。数年に1度だけ見える私だけの世界。それが今から始まるのだ。
『閃輝暗点 』という目の病気。ノコギリ状のギザギザした光が現れてどんどん大きくなる。半透明の緑色のギザギザ。私は勝手にオーロラと呼んでいる。
一過性の機能的な病気で、治療法もない。これが起きるとしばらくは動けない。だけど、痛いわけでもないし不思議な世界が広がるから私はこの病気が嫌いじゃない。薄緑色の中を人が歩く、車が通る。雨粒さえも幻想的。
なによりオーロラが雨の街にかかるなんてフィンランドでもないでしょ? これって素敵じゃない?
必須ワード 隠れ家
私だけが見える世界
主人が定年になり、家が狭く感じるようになった。そんな時は思いきって散歩に出かける。
今日のコースは公園? うーん、雨が降りそうだから大通りかな! いざとなったら駆け込める店がたくさんあるのは安心。
大通りに出るとポツポツと音がした。
「やっぱり降ってきた」
言い終わる頃には雨の筋、歩道はみるみる色濃くなっていく。私は慌てて目の前のバス停へと駆け込んだ。時刻表を見るとバスは出たばかり。簡単な屋根とベンチが1つ、実にシンプルなバス停だ。バスはしばらく来ないし、しばらく休ませてもらおう。
ベンチに座ると視界の下からピカピカと光が現れ始めた。
あ、始まった……
これが始まると30分は動けない。今回はこのバス停を隠れ家にしよう。数年に1度だけ見える私だけの世界。それが今から始まるのだ。
『
一過性の機能的な病気で、治療法もない。これが起きるとしばらくは動けない。だけど、痛いわけでもないし不思議な世界が広がるから私はこの病気が嫌いじゃない。薄緑色の中を人が歩く、車が通る。雨粒さえも幻想的。
なによりオーロラが雨の街にかかるなんてフィンランドでもないでしょ? これって素敵じゃない?
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