序 

文字数 314文字

 昔むかし、山岳に囲まれたこの地には、その山に龍虎王という鬼の首領の城があった。龍虎王とその配下の鬼たちは、その近辺にある村々から食料を奪いたべつくし、女を奪いさらって凌辱した。
 村を守るために立ち上がった男たちは、鬼によって深い傷を負い、殺された。

 そんな龍虎王の支配が続いたある日、一人の退魔師の活躍で、龍虎王は倒された。
 山の上にある龍虎王の城の庭には、退魔師によって倒された龍虎王と、仲間の鬼の屍が積み上げられた。退魔師はそれに火をくべて葬むると、城の広場に鬼たちの骨を埋め、お経を唱えて供養したのだった。
 すべてが終わったと安堵した退魔師は、山を下りて里へ帰った。

 城の奥深くに隠された二人の幼子には、気がつかずに――

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