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文字数 1,296文字
▼ 七森は毒キノコを見つけた。
くんくん……
なんか、こっちからいい匂いがする……
ああ……
そこの白いキノコからですね
っ、どこだ七森！
どこにあるんだそのキノコ！
どこって……
ピレの足元に
お？
おお！ これかっ！
ああ、でもそのキノコ
確かに、し、ろ……？
あ、れ……？
傘の部分が猛毒なので……
って伝えるの遅かったですかね
（本当にな！
って、あれ、体が動かない）
食欲を誘う芳醇な香りを放ち、手に取った瞬間に毒を染み込ませる
……村では有名な毒キノコでしたが
ぐ、おお
おおお、ぉ、お……
こうもあっさりと毒をくらうとは……
少し警戒心が足りませんよピレ
良い経験になりましたね
い、ぃから……
解、毒……！
はて
光の妖精に私の解毒術って通用するのでしょうかね？
闇魔術の反転版言語呪文なのですが
えっ……
仕方ありません……
元の遺跡に戻りますか
そちらの方が精気が多いですし
何があっても保険が掛けやすい
ぐ、ぬおおおおお……
はい、ずべこべ言わずに背負われて下さい
う、ぅう……
うっ、重い……
重いっていうな……！
ひ弱な魔術師の筋力舐めないで下さいよ
はぁー、どっこいしょっ、と
……
もっとこう、
妖精なら軽くて小さなイメージがあったのですけどねぇ
……
そもそも、ピレは妖精のくせに大きいですよね
人のお腹くらいの身長でしょうか？
光の妖精って基本的にそれくらい大きいんですか？
他の光の妖精見たことないから分かりませんが、もし、他の光の妖精も同じくらいの大きさだとしたら……
仮説ではありますが、光の妖精は燃費が悪くて数を少なく……おや？
……きゅう
……ピレ？
もしかして、大分毒が回っています？
……
光の妖精に効くかどうかは賭けですが……
気休めくらいにはなるでしょう……
≪毒解除≫
じゅわじゅわじゅわ……
ヴッ……うぅ……
よかった、
毒気は抜けたようですね……
う、ん……？
このドロッとした何かが……いや、おそらくは毒なのでしょうけど、これが体から泡立てて抜け出る演出は、何時も思うのですがなんとかならないんですかねぇ……
なな、もり……？
はい
ピレ、気分の程は如何です？
苦しいのは、なくなった……
ふむふむ
闇魔術でも光の妖精に通用する、と
人を実験台にしてんじゃねぇよ……
人ではなく、妖精ですが
まぁいいでしょう
毒が抜けたのなら、ここからは自力で
光の精気減って疲れた無理歩けない
全く、困った妖精ですね
これではどっちが契約主だか分かりません
……俺は、お前が嫌いだ
はい
大嫌いだ
そうですか
紛らわしい見てくれだし、
相性悪いのに契約するし、
自己完結して話すし、
いっつも仕方ねぇなって目で見てるし
異論はありますが……
続けて下さい
……でも
でも？
苦しいのが、なくなった……
それは、七森のおかげだから
だから、感謝は、してる……
……
な、なんだよ
なんか言えよ……
ピレ、貴方、ちゃんとお礼が言えるのですね……！
それくらい当然だろ！
私は、てっきりピレは
生意気で捻くれてるツンデレだから、
素直に感謝の意を表現するのは難しいとばっかり……
お前普段から俺のことそんな風に思ってたのかよ！
このっ、馬鹿森、このぉっ!!
ちょっ、ちょっ!?
背中で暴れないで下さい！
馬鹿森てめぇなんか嫌いだー！
▼ 七森は振り出しに戻った
