第19話

文字数 579文字

「くるみ!もう時間だよ!」
くるみが寝坊なんて珍しい。朝ごはん冷めたら美味しくなくなるから、早く食べてよ!
「くる……み?どこ行ったの?朝活とか?」
部屋にくるみがいない。荷物は全部残ってる。朝からランニング?
「なにこれ。」
机の上に小さな紙。読んだ瞬間、私は走り出した。
『店長へ
これまでありがとうございました。これからもカフェの経営を頑張ってください。』

「はぁ。お腹空いた。」
朝ごはんだけでも食べてこれば良かった。本当にお腹空いた。ふらふらする。カフェで美味しい物食べ過ぎてたせいかな。何かめっちゃお腹空く。
「そろそろ限界かも。お金持ってないし……。」
もう無理。ふらふらしすぎて、やばい!倒れそう!
「あれ?カフェの店員さんですよね?こんなところで何して……って大丈夫!?」

「あ、起きた。」「良かった~。」
ん?ここどこ?家の中?私家出したよね?間違ってないよね?
「私?何してるの?何でここにいるの?」
「山影さんが助けてくれたのよ。道で倒れそうになってたって。」
店長が何でもないように言う。
「山影さんって誰?」
「あー僕。山影浩平。まあ、僕っていうか俺?」
俺?言い直す必要あった?
「俺の声に聞き覚えない?」
「それは何かずっとあります。」
「え?あったのかよ!バレてたのかよ!」
バレてた?それって……。
「ちょっと早く迎えに来すぎたか?」
この人……私を!私を助けてくれた人だ!
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登場人物紹介

花森くるみ

両親がいない女子高生。

安上彩子

カフェ『エスポワール』を経営している。くるみを引き取る。

山影浩平

カフェの常連さん。くるみを助けた人。

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