第12話 育児ノイローゼならぬシャチ女王ノイローゼ

文字数 636文字

これは、生まれ変わったら
水族館のクラゲになりたい私が
シャチ女王の息子と結婚して
第1子が生まれた後のお話



〜シャチ女王 育児ノイローゼになったら大変だから私が相手をしてあげるわ




長女が生まれてから、
女王様が頻繁に我が家に来るようになりました。


『今、電車です。これから行きます』

なんて連絡は、もはや日常茶飯事。

『今ドアの前です』
とか
突然ピンポン
とか

よくあったなぁ。


当時、アパートの1階に住んでいて、
ベランダ側には大きな窓。
居留守は使えず。


「家にばかり篭っていて育児ノイローゼになったら大変だからね!
私が話し相手になってあげるわ」

そのお気持ちはありがたいのだけれども、
元々、家にいるのが好きな私。
赤ちゃんと一日中家にいても苦にならない。

それを何度伝えても、
外に出るのが好きな女王様には理解できなかったらしい。

むしろ、自分の好意を拒んでいると思い込み、ムキになる始末。



それだけならいいんです。

突然来ることも、心配してくれると思えば
受け入れることができたでしょう。



帰り際の捨て台詞さえなければ。



「あなたにはわからないでしょうけどね。
日も落ちて暗くなって、これから帰るのは大変なのよ」

「息子はまだ帰ってこないのね。
私の息子1人に働かせて。帰りも遅くて真っ暗。
後ろから刺されでもしたらどうしてくれるの?」


もう、来なくていいです。

何度も飲み込みました、この言葉を。



育児ノイローゼよりも
女王様ノイローゼになりそうな時期でした。



早く生まれ変わって
シャチ女王から解放されて
水族館のクラゲになりたい。
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